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二次創作の作家さんが新人賞に挑戦するとき、気をつけてほしいこと(ライトノベル編)

二次創作の作家さんは、キャラ立てが上手く、ツボを押さえた小説をお書きになります。
同人誌即売会で売れてる作家さんもいらっしゃいます。ですが、新人賞に挑戦すると、一次選考さえ通らないということが起こります。
どうして二次創作の作家さんは、新人賞で低評価を受けるのでしょうか。

1.神の視点で書くせいで、文章が古めかしく見えてしまう。

視点というのは文字通り、視(み)る点です。
一元視点と神視点があって、一元視点は登場人物のひとりが視える範囲を書く。ひとりに視点を固定しているのですから、別の登場人物の心の中はわかりません。
神視点は、さながら神様が下界を見下ろしているように、登場人物それぞれが視ていること(心の中の思い)を全部書きます。
カメラを遠くに置き、登場人物全員を眺めるのが神視点。ちょうど私たちがアニメを見ているような視点です。
主人公の肩の上にカメラがあるのが一元視点です。

神視点は明治の文豪が好んで書いていた書き方で、現代小説ではほとんど使われていません。ライトノベルだとごく一部の例外を除いて(「魔法科高校の劣等生」「七つの魔剣が支配する」など)皆無であるといえるでしょう。ですが、二次創作の作家さんは、この古めかしい書き方を好みます。
アニメを眺めるように頭に浮かんだ映像を文章にしようとしていらっしゃるのですね。
(私はAmazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。)

ですが、小説はアニメではありません。神視点だと古くさく見えるので、文章だけで不採用になってしまいます。

2.外見描写が長いためストーリーが薄く見えてしまう。

脳裏に浮かぶアニメの映像を文章にしようとしていらっしゃるので、ヒロインの服装をやたら細かく書いてくるのも、二次創作作家さんの特徴です。ヒロインのドレスのリボンの長さまで書いてある。ですが、今のライトノベルの読者は、外見描写が長いと退屈に感じます。読者の読みたいものはストーリーであり、魅力的なキャラが活躍する場面です。外見描写が多いと、ストーリーが薄く思えてしまうのです。「赤いドレスが似合うクールな女性」ぐらいで十分ですよ。

3.二次創作の作家さんは設定厨になっている。

二次創作の作家さんは、裏設定や魔法少女の変身呪文をたくさん考えます。いわゆる設定厨です。そして設定の説明がとても多い。ですが、ストーリーはおざなりです。
設定や変身呪文はお話に深みを与えますが、読者の読みたいものはストーリーなんです。
設定に使う労力を、ストーリー作りに使いましょう。

4.お話に既視感がある。

オリジナルを書いていても、なんとなく既視感のあるストーリーになってしまうのも、二次創作の作家さんの特徴ですね。新人賞は、レーベルカラーの枠の中で、何らかの新しさがあるものでないと受賞しません。

では、どうすればいいのか? 二次創作を長く書いている作家さんは、どうすればオリジナルでデビューできるのか?

5.投稿先を研究してほしい。

二次創作の作家さんは、よく研究していらっしゃいます。その探究心を、レーベルに向けてほしいのです。レーベルごとの好みや傾向があります。ライトノベルの場合、レーベルに合わせることが大事です。まず投稿先の小説を読みましょう。

6.現代小説の文章で小説を書いてほしい。

今のライトノベルの文章で書く。主人公に視点を置き、主人公の見える範囲を書くというのは、二次創作の作家さんにとって難しい部分かもしれません。
一元視点がぴんとこないという方には、写経をおすすめします。一冊まるごと丸写しをするのです。英語圏で生活すると英語が移るのと同じように、丸写しすることで文章が移ります。写経のお勧めは「コンビニ人間」難しい言葉はひとつも使ってないのに、読みやすくて癖がない。さすがの芥川賞です。

7.中途半端に古いものは書かないで。

二次創作の作家さんは文章が神視点で古めかしいのに、魔法少女もののような中途半端に古いものを書くと、古めかしさが自乗されてしまって、ものすごく古めかしく見えてしまいます。学園もののような、設定が古くならないものを書くほうがいいでしょう。

二次創作の作家さんはキャラ立てが上手いので、キャラの魅力を前面に押し出すようなお話作りをして頂くとデビューすることができますよ。がんばってくださいね!

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