【夢とか、目標とか・・・】
[2月に発送した便りです]
学びラボ ロボット教室の生徒はみんな知っているけれど、はじめたての人や来ていない人が知らないことは、
●「学ぶ」とは、教えてもらうことではなくて、自分から理解しに行くこと。
●ロボットを作るときにやっていること。
①テキストにはロボット作りのすべてが書いてあるのでじっくり読む。
②順番に考えて、一つ一つ試して、自分の知識や能力を積み重ねていく。ロボットの動きの順番も考える。「適当に」では作れない。
③式を計算することが苦手でも逃げない。国語、算数・数学、物理(理科)が必要。
④簡単にできることだけをやっていないで、少し難しそう・面倒そうに見えて避けていたことにチャレンジする。楽しむ。
【夢とか、目標とか・・・】
舞鶴高専の狸太郎さんの最終回のコラムのテーマが「夢」だったので、私からの便りでも話を続けます。
1.夢や目標があったほうが良い
「夢とか目標とかあった方がいいですね」
これは確かだし、誰もがそう言います。
でも、「あなたの夢や目標を教えてください」と質問されて何を答えていいか困る人が多いでしょう。
一方で、「私には、○○という夢があります」と答えてもらって、自分が普段考えたことがない発想で驚いてしまって、自分が理解しやすい形にしようとまったく違う話にしたり、「もっと現実を見ようよ」「具体的にどうやって実現するつもりなの?」と相手に詰め寄ってしまうこともあるのではないでしょうか。
私にとって想定外の例としては、「大谷翔平になりたい」「イーロンマスクより金持ちになりたい」「火星に行きたい」「ゲームだけしていたい」「ゆっくり休みたい」「カタツムリになりたい」などでしょうか。普段考えたことがないことを考えるのは、難しいですね。私の発想の偏りが恥ずかしいです。
「夢や目標」は何でもいいのです。誰かに評価されたり、点数をつけられたりするものではありません。褒められたり笑われたりするものでもありません。簡単なことです。「自分が思いついた、”今”を変えたもの」です。
それに大人の発想では、「実現するためにどうする?」「実現して何をしたいの?」を考えなくてはいけないと思いがちですが、脳内で楽しむだけで実現を目指す必要はありません。
夢や目標は、自分の人生の幅や可能性を広げて豊かにするものなので、具体的に実現に向けて動くことを「種を育てる」と言うとしたら、種のままで持っていてもいいのです。
大人は、他人のことは特に「成功した結果」が大事と考えがちですが、「夢や目標」は持った人個人の大切な宝物なので、他人の種をどうにかしようとしてはいけません。
大人も、持っている自分の種を大切に保管してもいいし、育ててもいいので、まずは自分のことをやりましょう。
自分の「夢や目標の種」は何よりも大事にしないといけません。
2.夢や目標の種
さて、「夢や目標の種」がどこから生まれてくるかというと、
●赤ちゃんと同じように「これは何だろう?」という好奇心から。目の前のことを少し変えてみる。
●1つのステップではできない、段階を踏まないといけないことを思いついて。
●今の自分がほかの人より上手にできていることを仕事にしている人がいるという情報を知って。
●今の自分ができないこと、劣っていてバカにされていることを、逆転して見返したいという思いで。
●人とかかわったら傷つくのなら、人にかかわらないで生きていきたいと考えて。
●うらやましく思う人、動物、ものとして生きたくて。
●やってみた結果、感じたこと、気づいたこと、気になったこと。(「改善する」など関係することもあれば、「やって空腹になった」など関係ないことも)
●「自分がするべきこと」がやらなきゃいけなくなった。「何を、どうやったらいい?」と困って。
ことばを変えると、夢や目標とは「自分が思いついた、”今”を変えたもの」です。
ここで書きはじめるより前から、もう行動をはじめている人は、どうぞ続けてください。そうでない人に向けてメッセージです。
種のまま持っていてもいいのですが、「今このままじゃまずいよな。変えた方がいいよな」と思ったら、
●まずやってみよう。
●繰り返そう。
●2回目を変えてもいい。
●ダメなら変えよう。
●やってみて、夢や目標にかかわったことだった?
●やってみて、夢や目標に近づいていけそうな感じがした?
●変えたほうが良さそうなことはあった?
などと、やってみたり、変えてみたり、考えたりしましょう。
3.子供にとっての大人
さっきから「大人は」ということばを何度か使っています。
「夢や目標」が思いつかない、という人は、もしかしたら赤ちゃんの頃の一番最初のチャレンジの体験、もう少し大きくなった子供のころのチャレンジ体験を「大人に」グチャグチャにされた人なのではないでしょうか。
この時の経験がかなり大きな原因ではないかと私は考えています。
1) 赤ちゃんの頃
赤ちゃんの頃は、周りの大人は「怪我させない、病気させない、成長させる」ことで頭がいっぱいです。とても大事なことです。寝る暇もないくらいです。
赤ちゃんは、目に入ったものを「これは何だろう?」と手に取り、口に入れようとします。繰り返したり、もう1回やったり、やり方を変えたりします。
結果も大事ですが、体を動かして、途中で考えて、感じて考えることが大事です。
「大人は」危険が起こる前に止めます。それだけならいいのですが、「結果」を大事に考えて、結果だけを与えようとする人がいます。
安全で喜びそうな結果だけを与えようとします。甘いものや感触が良さそうなものが好きなのは人間の本能です。なので、それで満足してしまいます。
さらに、「自分ができることはやってあげよう」と大人が代わりにやってしまいます。
失敗しても大きな怪我にならない経験、何を考えて体をどう動かしたらどうなるかという経験をできません。
自分の行動を止められ、手を少し動かしただけで得られるとしたら、「これは何だろう?」と思うことは無くなっていきます。
2) からかわれて
子供時代は、ことばを間違ったり、言い方を間違ったり、途中のことができなかったり、目指したことまでできなかったり、ケーキを食べて顔中クリームだらけになったりします。
大人は子供が言った通りの結果になることだけが正解と考えているので、これらすべてを失敗と考え、「できていない」といいます。一つ一つをからかいます。
これらは、バカにしているのではなく、かわいいと思っているからです。これは信じてあげて欲しい。
自分ができることをできない子供を見ると、かわいいと思いつつも、劣る人とも考えています。心の中では「子供にはできるはずがない」とも思っています。
できる大人の立場から「愛情のつもり」でからかいます。子供はからかわれたら傷つきます。
反論したら、愛情のつもりでさらにからかったり、腹が立ったら「子供のくせに」とぴしゃりと切り捨てます。
3) 子供時代に必要なこと
興味、関心を持ったことを自分なりにやってみて、その結果を味わえればそれで十分です。
大人の役割は、子供だけでできないことは手伝ったり、やる前に考えること、準備すること、やった後に素直な感情を話せて、気づいたこと、考えたことを話せる相手になることくらいです。
ほめる、望まれない手助け、代わりに実行、否定する、バカにするなどはしない方がいいと考えます。ほめるのは危険もあり、ほめられるために行動しようとしたり、判断基準がほめられることになるので、注意しましょう。
「一緒に喜ぶ」のも、途中で考えたこと、工夫したことなどを全部挙げて伝えられるならいいけれど、「ほめる」にならないようにしましょう。「一緒に喜ぶ」をしているつもりで、うまくいった結果をほめているだけだったりします。
大人が関わるなら、肯定的な気持ちになるように、もしくは再度チャレンジしたいと思える気持ちを子供が見つけられるように話を聴きましょう。
そして、周りの人に頼むことがあるときには、きちんと言葉にするように促しましょう。お願いすること、自分の気持ちなどを、相手が理解できるように言葉にして伝えようとする習慣は子供時代に作られます。
お気づきのように、「相手を信頼して話す」体験が重要です。子供に話し相手として信頼される大人になるのは、大変です。
4.夢や目標を実現するための決め方、やり方
0.前提として、学校の勉強(特に義務教育)は、夢や目標ための行動をやらない理由にしない。夢や目標を学校の勉強をやらない理由にしない。
1.興味を持ち、やってみたいことがあったら、気軽にやる。やる前からやらない理由を考えない。
2.身近なものに自分がやりたい選択肢が無かったら、自分で選択肢を作る。
3.小さいことでも、やりきった体験をたくさん経験する。成功だったらなおよい。
4.すぐに実現できるものばかりに取り組んでいたら、「ちっちゃ(小さい)」と自分に言ってみる。
5.自分一人でできることは、一人でする。役割分担した方がいいことは納得してもらえたら、仲間や家族と一緒に取り組む。頼ることも大事。
6.今上手にできるかどうかではなくて、いっぱい練習したり勉強したりして実現したいことかどうかを考える。
7.取り組んでいたら、経験すればするほど考えや見方が変わってくることがある。やり方を変えること、やめることは恥ずかしいことではない。
8.「やりたい」「やる」「やめる」は、本人が決める。周りが代わりに決めない、急かさない。
9.お金が必要なことも、子供、大人をまじえてアイディアを出し合って解決法を探す。子供がお金を考えることも大事。
10.失敗しても落ち込まない。周りの人は、からかわない。失敗してもダメではない。失敗が多い人の方が成功に近い。経験が多いということだから。
11.「やる」-「どうだったか(結果、気持ち、改善点)」をできるだけ数多く繰り返す。
12.やって感じたことを、「評価しないで、信じてくれて、話を聴く」だけをしてくれる人を見つけ、自分が聴いて欲しいタイミングで話す。
13.短期の目標は、「試験に合格する」などを目的としてよい。「その後に何をするか」「それは何のためになるか」を忘れない。
14.長期の目標は、1時間~1週間程度のいくつかのステップに分ける。
15.本気でやりたいこと、実現したいことだったら、休み方も計画に入れる。
16.「心配事」が出てきたら、何が心配なのか、それが心配なのは何が心配だからか、何が変わったら心配ではなくなるのか、を紙に書いて整理して考える。
17.ことばで整理し、ことばを使って理解し、ことばで説明する。すぐにことばにできなくてもあわてない。翌日以降でも構わない。
夢や目標を持つ人は、こういった土壌から生まれてきます。
「いつも興味関心を持ち、自分自身を信頼でき、困った時には適切な人にきちんと伝えられる」
子供たちには、こういう人になって欲しいと願っています。
ロボプロコースの生徒になっているけれど、今は「夢や目標を持つ人」の一部しかできなかったらどうしましょうか?
小学校高学年以上だったら、自分でそういう体験をできる場所、人を探せる年齢なので、自分で自分を「夢や目標を持つ人」に育てましょう。
ロボット教室に送り出してくれているので、家族は大きな力になってくれます。
「信頼して、正直に本心を話す」ことですね。
勇気が必要だけれど、がんばってください。
「夢や目標」の一環として、現在案内中の「学びラボCUP2024」へもぜひ応募してください。
お待ちしています。
(学びラボ 若狭 喜弘)
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