少年は「かわいそうな加害者」のためレイプに応じた
あらゆる意味で陰惨としか言いようがない報道が目に入ってきた。
児童レイプ。それも実母による男児へのレイプについて取り上げた朝日新聞の報道である。まずは記事の内容をご紹介しよう。直接的な描写があるので、苦手な方は注意してほしい。
母親からレイプされる中学生の児童。
ここまで既に十分陰鬱なのだが、本記事の真の意味での異常さはここから始まる。なんと被害児童からの電話相談を受けた女性相談員は、「話を聞く」だけで事態を放置し、いかなる関係機関への通告も行わなかったというのである。
当たり前だが、これは児童福祉領域の支援職として到底あってはならない態度である。児童に対する保護者からの性的強要は重犯罪だ。母親からレイプされている中学生など、まともな支援者であれば警察、児童相談所、ワンストップ支援センターなどと即座に連携すべき案件である。
これは「常識的に考えてそうするべき」というレベルの話ではなく、児童福祉領域の支援者に課せられた法的義務でもある。「子供たちの主体性」を重視して児童レイプを見逃すなどというのは到底あり得ない。虐待者からの強い支配関係に置かれている児童に「主体性」など存在し得ないからだ。
こうした支援とも言えないネグレクトを肯定的文脈で報じる朝日新聞も異常としか言いようがない。そもそもこうしたケースを「男子高校生からの『性の悩み』相談」などという牧歌的なタイトルで報じること自体が非常識である。他の連載記事はどれも「性暴力」「性虐待」「性被害」といったタイトルで報じられているのに、なぜ女性加害者のケースだけは「性の悩み」になってしまうのか。「男性の性被害」が隠蔽される構造を、この記事自体が雄弁に物語っているとすら言える。
このように、本事件を取り巻くあらゆる人々が、母親の性虐待を暖かく許容し、被害者である男児への適切な支援を拒んでいる。性虐待の主犯はもちろん母親だが、女性相談員と朝日新聞は性虐待の共犯者以外の何物でもない。
なぜ、このような事態が発生してしまうのか。
第一には、女性相談員、女性記者の中に拭い難くあるミサンドリーがある。そもそもなぜ男子児童の性相談に女性相談員が乗っているのか。これが男女逆で、女子中学生の「性の悩み」を男性相談員が担当するという話であればそれが極めて不適切であることは誰にとっても理解できるだろう。専門の児童相談センターでさえこうなのだ。男という性、特に彼らのセクシュアリティは極めて基本的な部分から軽視され続けている。
第二に、これが本稿のテーマでもあるのだが、多くの人々は男性の性被害に特有の構造を全く認識していない、というのがある。
それは「支援者」や「有識者」であっても同様だ。彼女らは女性の性被害と同様のアプローチで男性の性被害についても扱おうとするが、こうしたアプローチは高確率で失敗に終わる。上記事のケースはまさにその典型だろう。
「男性の性被害」が「女性の性被害」と明確に違う点、
それは「かわいそう」という気持ちを武器に他者を支配する加害者の存在である。
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