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表現規制における「BL無罪」と男性差別
SNSを巡回していたら、ふと気になる光景に出会った。作品が東京都より「不健全図書」に指定されたことを抗議する女性作家のツイートだ。
@ecoyuri @konotarogomame
— 星崎レオ (@hoshizakileo) April 22, 2022
今月、私のコミックスが都の不健全図書に指定されました。
私はかつてから不健全図書についての知識はあり、器具の使用や人格否定などの表現にも十分注意し、編集さんとの調整の末発行したものになります。
現状、不健全図書指定が一般の方にどう見られているかというと、【月ごとに一番エロい、または修正の薄いBLコミックスを選ぶだけの簡単なお仕事】ということです。
— 星崎レオ (@hoshizakileo) April 22, 2022
明確な基準があるわけではないので、絶対的基準ではなく相対的基準で月1冊を決めていると思われます。
指定された場合、紙コミックスが実質絶版となります。
— 星崎レオ (@hoshizakileo) April 22, 2022
当然都内での取り扱いがなくなる(R18指定で扱ってくださる場合も一部あり)、Amazonでの取り扱いがなくなる、フリマアプリでの売買が制限される、など流通が制限された結果絶版となります。
東京都知事である小池百合子氏(@ecoyuri)にリプライが飛ばされていることからもわかるように、強い抗議の意志がツイートからは読み取れる。その気持ちはわからないでもない。心血を注いだ作品に「不健全図書」などという不名誉なレッテルが貼られてしまったのだ。表現の自由を制限する当局にひとこと言いたくなるのは創作者として当然の心情だろう。
自分も多分に同情を込めつつ星崎レオ先生の主張を拝読した。以前から公言している通り、基本的に筆者は「表現の自由」を重んずる立場だ。昨今頻繁に見られる過度なゾーニングが論外であるのは言うまでもなく、わいせつ物の配布を禁じた刑法175条からして廃止・改定すべきであると真剣に考えている。澁澤龍彦のサド裁判などを引き合いに出すまでもなく、何が「わいせつ物」で何が「芸術」なのか、それを決める権限を当局に持たせることが適当だとは思わないからだ。
だが─────作品を実際に見て少々驚いた。正直なところ「東京都は表現規制をやめろ」という感想は抱けなかったのだ。むしろ「なぜこれが今まで規制されなかったんだ?」という真逆の感想を抱いてしまった。そのくらい、星崎氏の作品は「ポルノ」としか言いようがない、真正面から性的なコンテンツだったのだ。
もちろん、ポルノコンテンツであることは何の問題もない。ポルノを創作する自由もポルノを閲覧する自由もあって然るべきだ。問題なのは、これらのあからさまなポルノが全年齢で公開されているという衝撃的な事実だ。
疑うのであれば軽く中身に目を通してみてほしい。下リンクから無料で冒頭30ページを読むことができる。この作品は「調教師」を名乗る竿役と若い美形インフルエンサーが延々と濃厚な調教セッ〇スを繰り広げる作品だが、閲覧サイト内では年齢確認の認証ページが一切現れず、成人向けコンテンツであることを示す警告も現れない。本作は男性向けのハードコアポルノと比較して遜色ないほどに過度に性的な作品だが、それがごく普通のWEBコミックとして陳列されているのである。
ここまでハードな作品を「全年齢」のカテゴリーで出すことは男性向けポルノであれば到底許されないだろう。それどころか、男性向けの場合は厳しいゾーニングを施していてさえも売り場から撤去することを求められている。フェミニストからの抗議を受けコンビニエンスストアから成人向け雑誌が一掃された件はまだ記憶に新しい。
なぜこうまでハードな性描写が全年齢で販売されているのだろう。
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