専業主婦が暇なのは育児中でも変わらない
「逃げるは恥だが役に立つ」という人気ファンタジー作品を覚えている方は多いだろう。
ご存じない方のために簡単にあらすじを説明すると、就職活動に失敗した院卒無職女性がイケメン高収入エンジニア男子と「契約結婚」し、家事をするだけで月19万円貰うようになり恋が芽生えるという異世界転生俺TUEEジャンルのお話である。
当たり前だが、子無し専業主婦の労働が月収換算で月19万円というのは狂った計算式だ。この19万円という数字は
2011年の女性全体の平均時給1383円(厚労省賃金構造基本統計調査)×140時間(月20日×1日7時間)=19万3620円
(引用:ドラマ「逃げ恥」が教えてくれた専業主婦の家事のお値段)
という計算式によって出てきているわけだが、主婦業の時給単価を女性全体の平均時給から算出するのがそもそも間違ってるし、1日7時間労働という前提も完全に間違っている。
ちなみ総務省が行った「社会生活基本調査(H23年)」によれば、育児を除いた家事の平均時間は2時間59分である。ここに非熟練労働者の時給(日本全国の最低賃金の平均は902円)を掛け合わせたものが「逃げ恥」ヒロインの適性給与だろう。ちなみに計算すると
902円×59.6時間(月20日×1日平均2.98時間)=5万3,759円
という結果になる。
月収5万3000円。家事代行サービスの相場としても、まぁこんなものだろうと思える妥当な数値である。土日も休まず働いてようやく8万円程度だ。
このように、子無し専業主婦の適性賃金は月収8万円程度であり、その理由は非熟練労働である以上に労働時間の極端な短さがその原因となっている。
このように、専業主婦はクソほど暇というのがデータを参照した上での実情と言えるだろう。ちなみに筆者としてはこんなもの統計を見るまでもなく自明だと思っている。
ネトゲ廃人の三大構成要素はニート・学生・主婦の三者だし、「2ちゃんねる」で最も勢いのある板のひとつは「既婚女性板(通称「鬼女板」)」だ。ネトゲ廃人にせよ2ちゃん廃人にせよ、やれるのは暇人だけである。最近ではツイ廃も主婦が多い。
にも関わらず、専業主婦は忙しい!という大合唱は鳴りやむことを知らない。
一人暮らしの単身男性が増加し、家事という仕事が実際はそんなにハードではないことがバレた結果、彼女たちは育児という伝家の宝刀を抜き始めた。
「確かに子無し専業は暇かもしれない、でも子供を育て始めると忙しくなるんだ!」そう彼女たちは主張する。「ワンオペ育児」という流行語も相まって、専業で育児をこなすことは、あたかもブラック労働以上の苦行であるかのように語られている。
彼女たちの「悲鳴」は本物なのだろうか。
以下ではデータからファクトを読み込んでいきたい。
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