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少子化が進む韓国で、なぜ「若者」が大統領選の争点となったのか

東アジアでおそらく歴史的と称して良い事態が発生した。韓国の大統領選において反フェミニズムを争点に掲げた野党候補が当選したのだ。

韓国の第20代大統領に当選したのは「国民の力」党のユン・ソギョル(尹錫悦)氏。「国民の力」は革新派からの政権奪取を目的に保守系の各党が統合して生まれた新しい政党で、若干36歳のイ・ジュンソク氏が党首であることでも知られている。日本人は「保守党」と聞くと自民党のような伝統的かつ巨大な保守党が浮かんでしまいがちだが、ユン氏もイ氏も政治経験のない門外漢だ。これらの前歴を見る限り合衆国のドナルド・トランプ氏の勢力に近い新興勢力であることが伺える

今回の韓国大統領が極めて興味深いのは、フェミニズム政策が主な争点となっている点だ。フェミニズム VS アンチフェミニズムの対立が大統領選レベルにまで発展しているのである。

確かにジェンダー問題は若者世代における最大の関心とも言えるが、これが国政を揺るがす最大の争点にまで発展するのは日本人の感覚からすると奇妙にも思われるだろう。日本と同じく韓国も急激な少子化に直面しており、若者世代の持つ票数は決して多くない。しかし現に2022年の大統領選のキャスティングボートは20代・30代の若者世代に握られたのだ。これは日本の政治状況とは大きく異なっている。

なぜ、韓国の大統領は「若者」が最大論点となったのだろう。それは韓国政治史における特殊な事情が影響している。

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