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「高望みをやめられない限界婚活おばさん」が恋愛詐欺のメインターゲット

「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告(25)が、いま夜職の間で一種のダークヒーローのようになっているのを皆さんご存じだろうか。

渡辺被告のTwitterアカウントは15万フォロワーを擁し、日々の投稿の平均インプレッションは数百万をくだらない。既に出版編集者なども周りに付いているようで、渡辺被告がエッセイなり手記なりを世に出すのは時間の問題だと言えるだろう。

渡辺被告の著述スタイルは詐欺マニュアルの時期から一貫している。ひと言で言えば自己憐憫に基づく詐欺行為の正当化と、男性被害者の非人間化だ。

「かわいそうな私たちは、こうすることでしか生きられなかった」
「被害者は金をむしり取られて当然のクズだった」
「この世界はこんなに生きづらい」
「私たちは頑張って犯罪に手を染めて幸せになろ!」

渡辺被告の主張を圧縮すると、この4行のメッセージしか残らない。こうしたメッセージがロマンス詐欺をはじめとする搾取的な闇ビジネスに手を染める女性たちをネット上で連帯させ、「私たちは悪くない」というエコーチェンバーを生みだすに至り、今なお多くの詐欺犯が活動する土壌を形成したのである。渡辺真衣被告の罪はあまりに重いと言わざるを得ない。

ところで「りりちゃん」の生み出したミームが深く浸透した結果、興味深い現象が生じつつある。彼女に反感を抱く層でさえ「りりちゃん」の世界観に染まってしまっているのだ。

ロマンス詐欺被害者のことを「弱者男性」呼ばわりする風潮などはその典型だろう。男性被害者の非人間化は渡辺被告が長年特に力を入れて強調してきた「頂き」ミームだが、渡辺被告が逮捕され大々的に報道された結果として、そのミームは一般社会にまで浸透してしまった。

実際、被害男性には多くの誹謗中傷が降り注いでおり、渡辺被告の支援者が被害男性にインタビューを行った一件ではなぜか渡辺被告の支援者が被害男性に説教をはじめるという地獄のような光景が繰り広げられている。

「頂き女子りりちゃん」は逮捕されたが、彼女の生み出した「りりメソッド」は今なおミームとして生き続けているのだ。筆者が渡辺被告を単なる詐欺犯というよりは「ひとつの詐欺ジャンルの創始者」として扱うのはこうした影響力の強いミームを組織的に生みだした震源地が正に彼女だからである。

このように現在日本における「ロマンス詐欺被害者」像は渡辺被告のミームによって大いに歪められているわけだが、実際のところ客観的なファクトを基にした場合、どのような人々がロマンス詐欺の被害者なのだろうか。

結論から言うと、40代から50代の中年女性が最も「頂き」被害に逢いやすい属性である。そう、男性ではなく女性が主な被害者層なのだ。さらに言うと女性は男性に比べ高額詐欺被害に遭う確率が圧倒的に高く、特に高学歴かつ結婚歴のないバリキャリ独身中年女性が最も被害に遭いやすいというデータもある。

というわけで本稿では高望みをやめられない限界婚活おばさんがロマンス詐欺の餌食になりまくっているというあまりに不都合な真実について綴っていく。りりメソッドというミームに毒されていない「頂き」の真実に興味のある方はぜひご覧いただきたい。


「おば」は「おぢ」の2倍近く詐欺られる

まず最初に知ってほしいのは、

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週に1-2回程度更新。主な執筆ジャンルはジェンダー、メンタルヘルス、異常者の生態、婚活、恋愛、オタクなど。

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