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なぜ女性のレイプは犯罪とみなされないのか

いつの間にか、日本はレイプが合法化されたらしい。

もっとも「女性加害者に限る」という条件付きではあるのだが。

事件が起こったのは早稲田大学の政治経済学部だ。

被害者男性によると、女性准教授のU氏は指導教官として接していた男子学生に性的なアプローチを繰り返し、2017年から2018年の1年余りに渡って幾度となく性行為を強要していたのだという。U氏は出張先での同宿を被害者男性に命じ、私的な旅行にも同行させ、頻繁に自宅まで呼びよせ家事をさせるなどの行為も繰り返していた。出張先への同宿はわずか1年余りの間で計4回にも及び、研究室内や准教授の自宅でも性行為を強いられた。

ちなみに被害者男性は2014年に早稲田大学に入学したと報じられているので、事件当時は20歳から21歳の間だろう。それまで性行為の経験もなく、准教授の強要を拒むことができなかったと関係者に述べている。ついでに言えば加害者である女性准教授Uは事件当時45歳であり、既婚者でもある准教授との性関係を被害男性は拒み続けたが、U准教授は指導教官としての地位を濫用し被害者男性に性行為を強要し続けたのだという。

ここまでなら、気の毒ではあるが「よくある話」のひとつと言えるだろう。レイプという犯罪を未だ人類は根絶させることができていない。暴力や権力をバックに望まぬ性行為を強いる鬼畜はどの時代にも存在する。またひとつ新しい性犯罪が発生した。それだけのことだと言うこともできる。

しかし本件の異常性は、むしろ事件の「後」に発生した。なんと被害者男性の告発を、早稲田大学は握り潰しにかかったのだ。

男子学生が2021年3月、大学のハラスメント防止委員会に申し立てたところ、7月になって「ハラスメント等の違法行為はなかった」とする調査結果が出されたという。

博士後期課程の指導教員だった野口晴子教授の援助もあって、大学に再度の調査を要請し、翌月には大学のコンプライアンス保持のための第三者委員会が設置された。

しかし、こちらの調査でも今年3月、准教授による「ハラスメント行為はなかった」と結論づけたという。

(中略)

原告側は、一連の調査において、ハラスメント行為は認められなかったが、海外出張の際に同じ部屋に宿泊したことは認められたようだと話した。

裁判によって、どのような資料にもとづきハラスメントがなかったと結論づけたのか明らかにしたいとした。

早稲田大の男子学生、女性准教授と大学をアカハラ提訴「性交渉を強要された」

当たり前だが、大学当局の判断は常識では考えられないものだ。大学当局は「ハラスメント行為はなかった」と2度に渡って判断したわけだが、しかし被害男性と女性准教授の異常に密接な関係について大学当局は事実関係を把握している。22年3月18日付で出された大学側の文書にはこのような記載がある。

<対象者が、大学教員と学生という立場の違いを鑑みず、本件学生と出張先で同室に宿泊したり、本件学生を自宅に宿泊させたりする等、教育研究活動における必要性を超えて親密に接したことは、大学教員として不適切な行動であった>

「自宅や研究室で性行為を…」早稲田大学“女性准教授”が男子学生に訴えられた

つまり45歳の准教授が20歳の男子学生に対して、年に4度も出張旅行に連れていき同宿させたり、自宅に呼び寄せて宿泊させたりという「事実」を大学側は認識しているわけだ。

しかし、その上で早稲田大学当局は、「それはハラスメントではない」と判断しているのだ。いじめを「じゃれあい」と強弁する教育関係者のような詭弁が早大のハラスメント防止委員会では堂々とまかり通ってしまうらしい。

この結果を受けて、被害男性は早稲田大学の自浄能力に見切りをつけたのだろう。3月25日には加害者である准教授と早稲田大学を相手取って訴訟を起こし、さらに「週刊文春」に情報をリークしたようだ。

4月に発表された文春報道はネットをはじめ各地で大きな話題を呼び、早大当局は一転して准教授のハラスメントを認定するなどトカゲの尻尾切りに奔走している。2度も否定されたハラスメントが文春砲一発で「認定」される事態に被害男性はいま何を思うのだろう。

本件の特異性は、ある意味でレイプそのものにはない。

大学当局とメディアによって繰り返されているセカンドレイプ、それこそが本事件を突出して異常なものにしている。

具体的に見ていこう。まず

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