見出し画像

「子育てエッセイ」で心を破壊される子供たち

人気漫画家、西原理恵子氏の娘のブログが注目を集めている。

西原氏はエッセイ漫画家として人気を博した人物で、自身や家族の赤裸々なプライベートを独特の毒のある世界観で表現することで人気を集めてきた。特に自身の子育てを題材にしたエッセイ漫画「毎日かあさん」は毎日新聞紙上で15年にも渡る長期連載となり、アニメ化や実写映画化も成し遂げている。

「毎日かあさん」では「諸々のゴタゴタはあれど仲の良い家族」として描かれていた西原家。しかしここに来て往年の読者にとってはショッキングな情報が流れてきた。西原氏の実の娘である鴨志田ひよ氏による、家庭内暴力と虐待を告発するブログが発表されたのだ。

家庭の方では(中略)無断で私の本名、仕事歴、外見、精神病をコンテンツとして扱い親が大儲けしていた。リストカットの事は書かれていなかった。このころ、初めて精神科に行った、家庭環境を聞かれると直ぐに児童相談所に連絡しますと言われた、私はそんなことされたら殺されると思い、泣きながらやめてくれと懇願し、サインバルタをもらって帰った。

家にいる期間、毎日、過呼吸や手首がズタボロになるまで何かと罵られていたが、そこんとこは病気特有の脳が忘れさせてくれていて覚えていない。

ただ覚えているのは、5万円突然渡してきて、受け取って、ありがとうって言わなかったと永遠と罵られて5万円くれてありがとうございますと私が泣きながら言う。的なプレイは毎日のようにあった。

鴨志田ひよ氏のブログアーカイブより引用

児童を対象とする精神科医が初回の診断で児童相談所への通報を考慮するというのは、相当に劣悪な環境であると言って差し支えないだろう。

上で書かれているような西原理恵子氏の家庭内暴力もさることながら、赤裸々に自身や家族のプライベートを切り売りする西原理恵子氏の芸風が(西原氏以外の)家族を深刻に傷つけてきたことは想像に難くない。

私生活を第三者に好き勝手にコンテンツとして消費されることは、本人が同意の元に出演するリアリティーショーであってすら深刻なダメージを出演者に与えている。英紙Metroはリアリティーショーの出演者が2019年時点で既に38人も自殺していると報じているが、驚くべき数字と言う他ないだろう。

自主的な成人の志願者によって構成されるリアリティーショーであってもこうなのだ。「子育てエッセイ」に出演を強制される児童にどれほどの悪影響があるのか、現段階では想像もできない。

実は「子育てエッセイ」の影響で児童が心身に大きなダメージを負うことは決して珍しい話ではない。中には一家離散当事者の自殺といった悲惨な結果を招いてしまったケースもある。たとえば

ここから先は

2,459字
週に1-2回程度更新。主な執筆ジャンルはジェンダー、メンタルヘルス、異常者の生態、婚活、恋愛、オタクなど。

狂人note

¥1,000 / 月

月額購読マガジンです。コラムや評論が週1-2本更新されます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?