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ひろゆきのファン層は「日本語は読めないけど論破したい」人たちだよねって話

というわけで、今をときめく「論破王」ひろゆきさんと対戦させて頂く機会に先日恵まれたのですが、その論争がなんとも印象的だったという話を備忘録がてらnoteに残させて頂こうと思います。

論争自体はごく短いものなので興味があったらここら辺のまとめでもご一読ください。まぁそちらを読まなくても本記事は読めるようになっています。


ひろゆきジャレド論争まとめ

レスバあるあるですが、途中で論争のテーマが変化しています笑

最初は「ひろゆきの虚無主義」について自分とひろゆきさんがやりとりをしていたのですが、途中でひろゆきさんがジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」を援用して話をすり替えるといういつものやつ荒技に出たため、「ひろゆきはジャレド・ダイアモンドの本をまともに読めているのか?」という第二ラウンドがはじまってしまいます。

幸い自分はジャレドの本を「銃・病原菌・鉄」以外にも何冊か読んでいたので、ジャレドから「人間の努力はほぼ無意味」という結論を導くひろゆきさんの主張のおかしさを指摘できたわけですが、まぁ普通の人だったら小難しい本の書名を出されただけで萎縮しちゃいますよね。

ひろゆきさんはそうした指摘に対して「おいらは10年前からその本を読んでる!」という噛み合わない反論を提示してレスバは明後日の方向に飛んでいくわけですが、たった3往復ほどのやりとりの中で、

・ストローマン
(人間の社会運動で大陸の形が変えられると考える頭の悪い人には~)

・早まった一般化
(人間は大陸を動かせない、だから人間の努力は無駄である)

・権威論証
(おいらは10年前とっくにジャレド・ダイアモンドを読んでいる)

とめくるめく詭弁テクニックが見られるのはまさに「論破王」の名に恥じぬ奮戦ぶりと言うべきでしょう。冗談ではなく、語る言葉の全てを詭弁で構成し、それでいて一定の説得力を持たせてしまうというのは凄まじい才能です。

まぁ、ここまでなら「いつものひろゆき」なわけです。自分より知識のある相手に対しては徹底して論点をすり替え、ギャラリーからひろゆき優勢に見えるコメントを連投し、ひたすら勝ち誇ることで知識不足や論理破綻をなんとなく誤魔化してしまう。

初期2ちゃんねるから20年以上氏を認識していた自分としても、何度見たかわからないいつものムーヴです。ここまでなら特に目新しいものは何もありません。

ただ、論争の当事者になってはじめて見えてきたものがあります。それはひろゆきのファン層の、驚くほどの知的レベルの低さです。


「日本語は読めないけど論破したい」という欲望

ひろゆきさんとレスバしていると、氏のファンから無限に野次めいたコメントが飛んできます。

もちろん、ファン層やギャラリーから野次めいたコメントが飛んでくるのはネット論争に共通した現象であり、それ自体はひろゆきさんの特殊性ではありません。ひろゆきさんの特殊性はファン層がほぼ全員日本語を読めていないことです。本当に、驚くほど、内容のないコメントしか飛んでこない。

普通のインフルエンサーと論争していると、たいていは「あなたの意見は〇〇じゃないですか?」「あなたの××という主張は□□であるからおかしい」といった論争内容を理解した上でのコメントが飛んでくるんですね。もちろん脳死としか言いようがない無内容のコメントも大量に飛んでくるわけですが、論争内容を理解した層からの反論や指摘も一定数飛んでくる。

しかしひろゆきファンの場合は、もう100%と言ってよいレベルで、全員がまったく論争内容を理解していません。「あなたの〇〇という意見は××じゃないですか?」という具体的指摘は皆無で、「お前の負けw」「ザコw」みたいな小学生のようなコメントばかりが無限に飛んでくる。

自分はインターネットに20年以上どっぷり浸かり、不毛なネット論争を何十何百と繰り返してきたわけなのですが、ここまでファン層の知的レベルが低いのは確実にひろゆきさんが初めてだと思います。というか、おそらくは「論争」という知的(?)遊戯を嗜まない層にまでひろゆきさんの影響力は波及している。論争の当事者になることで、それがはじめて実感を伴って理解できました。

それにしてもなぜ、本来であればテクストを読んだり、論争に参加したりといったことをしない(できない)層が、ひろゆきさんに限ってはフォロワーとなり論争に参加したがるのでしょう。その問いの答えこそが「ひろゆき」という希代の思想家の本質であり、SNS時代のネット論壇の重要な特性であるように自分には思えます。

つまりひろゆきファンにとってひろゆきとは、

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週に1-2回程度更新。主な執筆ジャンルはジェンダー、メンタルヘルス、異常者の生態、婚活、恋愛、オタクなど。

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