女が甘やかされる国で「女性の社会進出」は進まない
「日本はジェンダー平等後進国である」としばしば言われる。
特に頻繁に引用されるのがジェンダーギャップ指数(GGI)の順位の低さだ。2022年度のスコアでは日本は146ヵ国中116位であり、お世辞にも高い順位を達成してるとは言い難い。
とは言え日本は「健康」「教育」などの評価基準においては世界トップレベルのスコアをたたき出しており、「経済参画」「政治参画」などのスコアだけが底辺を這っているため低順位になってしまうという構造があるのだが、ともあれ日本の女性が「社会進出」において他国よりも遅れていることだけは間違いないだろう。
ここら辺のGGIの構造と問題点に関しては古くから様々な秀逸な批評があるため本稿では割愛するが、それにしてもなぜ、日本女性の社会進出はこうまで進まないのだろうか。毎年ジェンダーギャップ指数が発表されるたび左派メディアは嬉しそうに「日本社会の後進性!」「女性差別!」「ジェンダー意識の低さ!」的な記事をバラまいているが、日本に「女性の社会進出」を抑制するような社会的風潮があるとはどうにも思えない。
もし本当に日本社会に「女性の社会進出」を妨げるような性差別的な文化があるのなら、そもそも女性の教育参画においても日本は他国の後塵を拝しているはずである。「教育参画は世界トップレベルで、しかし政治・経済参画は世界底辺レベル」というのはなんとも奇妙な状況と言うしかないだろう。教育はふんだんに受けられるのに経済参画が進まない現状を「女性差別」のひと言で切って捨てるのはあまりに現実を無視している。
なぜ日本女性の社会進出は遅々として進まないのか。
言い換えれば、アイスランド、スウェーデン、フランス、合衆国などの欧米諸国の女性は、なぜあれほど社会進出に積極的なのだろうか。
その答えは、実のところあまりにシンプルである。
日本と違って欧米の女性は、働かなければ生きていけないのだ。
「お小遣い制」がない
日本の家計管理制度と言えば悪名高い「お小遣い制」だ。
男性が主たる家計支持者(大黒柱)として家計所得の大半を稼ぎ出すことを求められ、その上で男性は自分の給与を自分で管理することができず、主婦である妻に財布を全て渡し月数万円の「お小遣い」で生活する。一方で家計管理者である女性は夫の所得を自由に使うことができ、また会計監査のようなものもほとんど慣習としては見られない。
日本のマーケティング業界においては女性消費者が他国に増して重要とされているのだが、それは家計の消費行動すべてが主婦である女性に握られているからだ。専業主婦でも月数十万円の決裁権を持っていることが日本社会では珍しくない。
一方で、海外ではどうか。
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