なぜ女は簡単に心変わりするのか
部族の男たちは皆殺しにされた。
夫は殺された。父も殺された。祖父も殺された。息子も殺された。
残っているのは女たちだけだ。それも歯向かう者は殺された。
何万年も続いた殺戮の人類史の中で、女たちは度々このような場面に立たされてきた。
…。
……。
………。
男の恋愛は「名前を付けて保存」。
女の恋愛は「上書き保存」。
インターネットで語られる、男女の恋愛観の違いを表現したフレーズだ。
「上書き保存」というのは「前の男をキッパリ忘れる」女性の心理的傾向を表しているのだろう。確かに男は元カノのことを恋々と思い続けるのに対して、女はスイッチが切り替わったように前の男のことを忘れる傾向にある。男からするとこれはちょっとしたホラーだ。
ある意味でこれは、男女における恋愛観の、最も鮮烈な差異かもしれない。
男は元カノを忘れられない。
元カノどころか、大昔の初恋の相手すら忘れられない。人生において好きになった歴代女性全てに対し、今なお生暖かい気持ちを抱いている男は少なくない。これはどうも女性からすると、かなり気持ち悪く思えるらしい。
しかし女性の「上書き保存」っぷりは、男からすると「気持ち悪い」を通り越してもはや「恐怖」の対象だ。
女友達から元カレの悪口を聞かされるとき、
「あれだけ好き好き言ってた相手のこと、なんでそんな悪く言えるの…?」
と内心ドン引きする男は少なくないのではないか。ぶっちゃけ、自分は割といつもドン引きしてる。なぜ一時とは言え愛した相手を、そこまで悪しざまに言えるんだろうか…。
なぜ「元恋人」に対する感情が男女でここまで違うのだろう。
人類史を先史時代から遡って見てみると、この疑問のヒントが手に入る。
本稿では進化心理学的な観点を導入して、この謎を紐解いてみようと思う。
殺人が大好きな男たち
突然だが、男は人殺しが大好きだ。
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