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「被害者」であればあるほど、人間の心は弱くなる

みなさんはイキリ灘校生ことtehu氏をご存知だろうか。

不幸にも中2という多感な時期に趣味で制作したiPhoneアプリがプチヒットを引き起こし、各種メディアに「天才IT中学生」として祭り上げられた結果、承認欲求がオーバードライブを引き起こし天才中学生からネット民のオモチャに転落してしまった気の毒な青年である。

全盛期のtehu氏のイキリは今見返しても超一級で、怒涛のような人脈自慢やモテ自慢、高校生にしてテレビ業界人のようなファッションセンスなど、ネット民の玩具にされる条件を120%満たす稀有な存在として(悪い意味で)注目を集めてしまった。

さらに悪いことに大学1年生時には「小4なりすまし事件」を引き起こし全国的にも大炎上。これは2014年の衆議院解散への疑問を投げかける内容のウェブサイトを「小学4年生が作った」という設定で公開したもので、皮肉にも技術的な高度さから「小学生に作れるわけがない」と即バレし、当時の内閣総理大臣から名指しで批判されるに至るなど「ネット炎上」の枠を超えた全国的な大炎上に至ってしまった。

流石にこの規模の炎上は堪えたようで、tehu氏はその後大学を2年間休学。次第に表舞台からも姿を消していき、ネットの話題にも上がらなくなっていく。

そんなtehu氏を筆者も含めネット民のほとんどは忘れていたのだが、つい先日、偶然にtehu氏の最新の姿を見て驚いた。驚くほど「まとも」になっていたのである。

以前の僕がやっていたことは、全部デモンストレーションでした。自分に注目してもらったり、威勢を表現するための単なる自己表現だったんです。

でも今は、もっと大きなことを成し遂げたい気持ちが生まれました。人間の学習能力やコミュニケーション能力をテクノロジーで最適化するために、必要なことをしたい。それは少なくとも、今僕が有名になることではありません。

元“炎上芸人”Tehuが学んだ承認欲求との付き合い方「あの時は、人生全部パフォーマンスだった」

現在tehu氏はスタートアップの技術責任者として勤務する傍ら、慶應大学の助手として後進の指導に当たっているという。「ネット民のオモチャ」として散々に弄られ尽くした彼がこんな立派な27歳の大人になっているとは、当時の光景を知る者はほとんど想像もできなかっただろう。

なぜ、tehu氏はこうした成長を遂げられたのだろう。

間違いなく最大の要因は

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