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syamuという「障碍者の見世物小屋」を、それでも全否定できない理由

「ある意味で」伝説のYouTuberであるsyamu氏が帰って来た。

ご存じない方のために説明すると、syamuとは2014年ごろから活動していた零細YouTuberだ。特徴的な外見、突如あげる奇声や異常な言動、オフ会0人等のエピソード、度重なる出会い厨行為などが話題となり、彼を主題にしかMADの流行なども相まって「ネタ」として人気を博した人物である。

ともすると「ネタ」というのは穏当過ぎる表現かもしれない。ネット上でのsyamuのあだ名「アトピーガイジ」「精子スプリンクラー」「ギリ健」「貝塚勃起土竜」などであり、タブーである「障碍者を笑いものにする」という娯楽を楽しむために人気を博した人物であることは明白だろう。

彼は「ネタ」というよりは「見世物」であり、今回の復活も迷惑系YouTuberへずまりゅうがプロデューサーとして一枚嚙んでいる。ちなみにsyamuは福祉作業所に通っていた前歴を明らかにしており、推測ではなくなんらかの障碍を抱えているのはほぼ確実である。

当たり前だが、福祉や精神医療に携わる人間の99%はこの状況に顔をしかめている。「見世物」としてネットの晒し者になることがsyamuの心身に良い影響を与えるわけがない。

実際、悪質なネット民からの突撃がsyamuの周囲では頻発しており、逮捕者まで出る事態に発展している。有形無形の嫌がらせは毎日のように継続しており、先日など祖父母の遺影が刷られた嫌がらせの葉書きが送られてきたそうだ。彼が日々あらゆるメディアを通じて膨大な誹謗中傷に晒されていることは想像に難くない。

こうした被害も彼がエンターテイナーとして立身を遂げる見込みがあれば救われるのだが、その可能性も極めて低い。彼は「笑わせている」のではなく「笑われている」のであって、YouTuberとして継続して人気を集めることは不可能に近いだろう。

一時期彼は保護者にPCを取り上げられていたそうだが、保護者から見れば今の状況は悪夢以外の何物でもないに違いない。「YouTubeから遠ざけて福祉に繋げるべき」という意見はSNS等でも根強く散見される。

「障碍者のフリークショー」としてネット民から消費されるsyamu。

その暴力性、その危険性、その悪意と残酷さを十全に承知した上で、それでも「見世物」になり続けるsyamuを筆者は全否定できないでいる。

なぜなら、

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週に1-2回程度更新。主な執筆ジャンルはジェンダー、メンタルヘルス、異常者の生態、婚活、恋愛、オタクなど。

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