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11 食事の支度ができない


父が10キロ以上痩せその原因が、パーキンソンの薬を飲み始めたら味がわからなくなったと言っていたのだが、おそらくこれは母をおもんばかっての事だったのだろうと今になって思う。
母は2022年頃から既に3食の支度ができなくなっていたようだ。
ごはんですよや塩辛、納豆のストックが冷蔵庫に沢山あったのは、おかずがなくてもご飯が食べられるからなのだろう。
入居直前まで母は、毎日米を炊く事が習慣になっていた。
ジャーに保温されている米を丼に出して、袋をかぶせ冷蔵庫にしまい新しく米を炊くのだ。
それを見つけるたびに私は、1回分ずつラップで小分けにし冷凍していたのだ。
高齢者住宅に入居する前の2週間の間私は両親の手伝いで実家にいたのだが、小分けにした米はあっという間に冷凍庫一杯になった。
炊飯ジャーに
”ご飯はあるから焚かなくていいよ”
と張り紙をしてもそれをはがして米を炊く。
最終的に私は炊飯ジャーと米を隠した。
無ければ無いであきらめがつくようで、炊飯ジャーに関して何も言ってこなかった。
米を炊く事に尋常ではないこだわりを示していたにもかかわらず、視界に入らなければその存在も気にならないという事のようだ。
しかし何かをやらねばならないと思っていたようで、用もなく台所でうろうろとしていた。


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