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父と母に私は“旅“というギフトを与えている、ということにする。笑


今年3年ぶりに祇園祭が執り行われた。
私は昨年の冬から京都に住み始めたので、私からしたらこれが初めての祇園祭。

この度、私の父母が祇園祭の後祭に合わせて京都へ遊びにきた。
山鉾巡行が有名な前祭でなく、少し落ち着いた後祭に合わせてくるあたりが我が両親らしい。
そして、70前後の高齢だってのに、行きも帰りも夜行バス(しかも4列シート)で来るあたりが、ケチな倹約家な父らしい。笑

父と母とは、京料理食べたり、宵山をみて回ったり、もちろん山鉾巡行(後祭は山鉾って言わないのか?)を観覧したり、東寺で仏像を眺めたり。
私が仕事の間は、彼らは二条城やら京都御所やら行ってきたらしい。

まだ私が知らない京都を、2人なりに満喫したようでよかった。


近くで見ると大拍力!



旅ではやはりトラブルが起きるもので…



山鉾巡行では、有料観覧席のチケットを取っていて、
巡行が始まる9時半までにはその場所にたどり着いていたかった。

しかし、その観覧席までの道中で、196年ぶりに復活した鷹山が御池通に出るまでの辻回しに遭遇した。
完全通行止めになる通り…

大通りに出る途中で辻回しに遭遇


目の前には大きな大きな鷹山
後ろにはその後をゆく船山
前にも後にも進めない!
迫り来る時間、目の前でなかなか動かない鷹山

早く行かないと巡行始まっちゃう!
せっかく父母のためにとった有料席なのに!
と焦る私。

時間に遅れること、予定外が起こることが大嫌いな母は私を大いに大いに急かすものだから、なおさら焦る。

でも今、目の前の鷹山はなかなか動きそうにない。
「ヨーイト、セッ!ヨーイト、セーッ!」の掛け声が何度も何度も響き渡る。

あぁ、どうしよう…お願いだから早く動いてよ…。
と言う思いでいっぱいになる。


さらに「どうする?早く行かないと時間になっちゃう」と何度も急かす母に
結局私は
「もうお願いだから急かさないで!本当にやめて!」
と怒ってしまった。


あぁ、やっちまった。

でも、焦ってるのが伝わりすぎるし、急かされることで私も気持ちに余裕がなかった。何度深呼吸しても、足りなかった。

その後、鷹山は何回めかの辻回しで御池通に向かって進んでいき、私たちは急いで観覧席まで向かった。

途中出口を間違えたりなんだりで、
なんとか観覧席にたどり着くことができた。
やっとの思いで到着した頃には、私はもう泣くかと思った。


私たちは結局、巡行の半分くらいからしっかりと観覧席で見ることができた。

夏の青い空を背景に、ゆっくりと巡行が見られたことは良い思い出。

思い出深い鷹山


急かされて、焦って、ささくれ立っていた気持ちに 少しずつ余裕が出てくるのがわかった。
今なら深呼吸も気持ちを落ち着かせるのに有効。


「今この山鉾まで来たね」ってパンフレットの巡行順の最後の方を指差すと
「え、もう?」と(これだけ?)みたいな顔をした母よ…

せっかく京都まで来たのだから、しっかりと祇園祭楽しんでもらいたい!という想いと完全に逆行する出来事。


あなたの顔を見て、娘は正直泣きましたよ。
本人には言わないけどさ、姉ぐらいには今度愚痴らせてもらうからね。


その後は、四条通へ移動してまた巡行を見た。
有料観覧席ではないけど、道端に立って、最初から最後まで全部巡行を見ることができたから、まぁよしとしましょう!




ちなみに
後日、電話で「鷹山の辻回しも、観覧席からだったら遠くからしか見れなかったけど、通行止めにあたったおかげで、あんな直近から見られたし、逆によかったってお父さんも言ってたし〜」と言った母。

さすが母。すぐに忘れるタイプです。

結局私1人が「あぁ、きつく言っちゃった」とウジウジしているいつものパターン。
いや、別件で凹んでいた私に気負わせないように言ったことなのかもしれない。

いずれにせよ
昔だったら泣いてぎゃーすか騒いでいたであろうところを、
“そんな出来事こともあったな“と俯瞰して見られるようになったのは
私も成長しているのです。きっと。



我が尊敬するタフな父母


上でも書いたけど、今回の京都旅行にあたって、行き帰り共に夜行バスを選択する私の父母。

そもそも子供4人を育てたという事実だけでも驚きなのに
私たちがまだうるさい子供の頃は、毎夏に8時間以上かけて車で青森まで里帰りするなど
本当にタフだし、フットワークが軽い。


そして
思い返せば
銀座
中国・上海
オーストラリア・シドニー
福岡
そして今回の京都

アメリカ・フロリダは乗り継ぎが心配で(笑)、台湾・台南はコロナ禍の関係で来れなかったけど

毎回、なんだかんだ理由をつけて私の拠点に会いに来てくれる。

元気です、タフです。

だからと言って、旅先でアクティブに観光や買い物をするのかと思えば、
そうとも限らず、
部屋でテレビ見てのんびりしたり、スーパーのお惣菜で晩御飯をしたり、
何だか不思議な両親だなぁ。



一緒にいると小言ばかりだけど、
普段離れて暮らしているからこそ、帰り際の"あんまり無理しないのよ""お世話になりました。ありがとう。"の言葉たちが
くすぐったくも重みを増してくれる。

お父さん、お母さんこそ
いつまでも変わらずそのタフさで、私のお手本になってほしい。

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