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詩/母の日は

「母の日は」

母の日は

母に花束を贈る
母に感謝を伝える
母が喜ぶプレゼントをする

そう思っていた

幼い頃は
それでもよかった

やがて
離れ離れになって

母に花束を贈らなきゃ
母に感謝を伝えなきゃ
母が喜ぶプレゼントをしなきゃ

になっていた

気がつけば
花束贈れなくてごめん
何も贈れなくてごめん
自分の声聞かせなきゃ

になっていた

そして今
気持ちが病んでしまって

花束贈れなくてもいいよね
何も贈れなくてもいいよね
電話できそうにもないや

になっていた

感謝するって
伝えなきゃ感謝にならないよな

伝えられない人だって居るのに
何を甘えたこと言っているんだ

ほんとうにいいのか?

いつも出てくるやつだ

僕は
しばらく壁を見つめていた

ぼんやり
カレンダーの日曜日から
母の日の文字が飛び出して
僕の目の前に浮遊した

漂うそれぞれの文字に
別の文字が現れて

"母の日"の文字は
"母の声を聞ける日"に整列した

とたんに僕の中から
"何を話せばいい"が消えて
焦りと罪悪感が消えた

さっき
母の声を聞いた


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