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あなたがマスクをつける理由

先日、バンコクでもマスク着用が義務化され、
違反すると2万バーツ(日本円で6万ほど)の罰金になりました。

マスク着用の義務化はヨーロッパ、オーストラリアなどの国で去年から実施されてきましたが、タイでは今回の第3波(?)で初めて実施された施策です。

また、義務化の内容も結構具体的に示されていて、一人以上同じ車に乗っている場合もマスクをしないと罰金になるそうです。

私はこの施策が、今後のタイのマスク文化にどのような影響を与えるのか、とても興味があります。

コロナ前のマスク事情

タイでは近年悪化する大気汚染の影響で、コロナ前からマスクをすることに抵抗がない人はある程度いました。

毎年1,2月あたりになると、空気中のPM2.5濃度が上がって、外に出ると息苦しくなるので、マスクをつける人が増えます。中には、毎日アメリカ製のN95マスクを身に着けて、通学してくる学生もいました。授業中もつけていたので、苦しくないのかなと心配になりました。

日本同様、咳が出るからとか、風邪ひいたからマスクをつけるという人もいましたし、反対にマスクなしで咳き込んでいる人もいました。

マスクをつける理由を聞いてみると、たまに

なんとなくつけたかった。
今日はメイクが出来なかったから。

という答えも返ってきました。

みんながみんな好んでマスクをつけていたわけではないと思いますが、ある程度マスクする文化は根付きつつあった中でもコロナ渦でした。

コロナ渦のマスク事情

2020年初め、タイは中国以外の国で初めてコロナが確認された国になりました。その後、コロナ感染者数、死者数は日本などの東北アジア、ヨーロッパほど伸びず、WHOからもタイはコロナの優等生だと称されるようになりました。

タイ人はマスクをつける習慣があるから、感染を抑えられてる。
マスクをつけない外国人がコロナをまき散らしている。

なども報道もよく見られました。

確かに公共交通機関の中や、人がよく通る道端ではマスクをする人をよく見かけました。

でもその反面、いざ室内に入って、気心しれた仲間と会うとと、安心したのかいきなりマスクを外したり、ずらして話す人もよく見ました。会議で発言するときは、かなりの数の人がマスクを外して発言していました。

これは日本語でいう「内」と「外」の概念が働いた結果だと私は考えています。「内」とは自分にとって身近であったり、自分が所属する職場、コミュニティを指し、「外」とはそれ以外の世界を指します。

「内」と「外」というと、日本独特の文化として紹介されることも多いですが、実はタイや欧米の文化でもあります。

公衆衛生の視点から見ると、コロナの感染ルートは飛沫感染または接触感染がほとんどなので、外でのマスク着用より、室内でのマスク着用の方が効果が高いです。

それでも、気心にしれた家族、友人、同僚の前ではふとマスクを外したくなるのではないでしょうか?

人前で話すとき、自分のメッセージを(自分のコミュニティーに)伝えたいがうえに、マスクを外したいと思うのではないでしょうか?

欧米諸国でのマスクの浸透がアジア圏より遅かった理由の一つに、相手の表情が見えずコミュニケーションがとりずらいことがあります。

今回のタイでのマスク義務化は、外だろうと、建物の中だろうと、家の外ならすべて罰金対象だそうです。

実際、政府がどこまで「内」のゾーンを取り締まれるのかは正直わかりませんが、室内でのマスク着用が少しは定着するのではと思います。

今日のまとめ

コロナ前から日本やタイであったマスク文化は、アジア圏での感染を遅らせた要因の一つだったのかもしれません。

でもその反面、「内」のゾーンでの行動により、静かに感染が広まっている可能性もありますし、マスクをすることだけで感染を予防する効果が薄い可能性だってあります。

タイではマスクの義務化がバンコクだけでなく、全国に広まりつつあります。

私はマスクの効果を信じないから、マスクをしたくないという価値観を許容する余裕さえもなくなっていくでしょう。

今後、この施策がどのように私たちの生活に影響するのか、静かに見守っていきたいと思います。



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