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週末ラーメン便り(3)
週末ラーメン便り(3)
珍遊 一乗寺本店
雨が降っていたが一乗寺のうまいラーメンを探しに今週もやって来た。天気のせいか若干活気がない一乗寺ラーメン通りだったが、そのお陰でゆっくりとお店を選ぶ余裕ができた。
私は「中華そば」の文字に弱い。醤油スープに黄色麺、シャキシャキネギに煮卵載せて…。中華そばの四文字から脊髄反射的に想起されるラーメン像に喉を鳴らさずにはいられないたちである。今日もまた、中華そばという単語を眼光鋭く察知してしまうのだ。
中華そば専門店「珍遊」さん。だらんと垂れた暖簾と昭和二十五年創業と書かれた提灯が雨風にゆらゆらと揺れていた。今日はここで決まりだ。
店内は大衆食堂のような、昭和レトロを感じさせる様相だった。床はアブラでややネチネチしていたが、このネチネチがスープのアブラ味への期待を沸き立たせる。
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店員のおっちゃんは優しく席に案内してくれたし、キッチンにいたおっちゃんも大きい声で迎え入れてくれた。愛されるお店に違いない。
煮卵トッピングの中華そばを注文する。早めの時間で客が少なかったせいかあっという間に出来上がった。
湯気に顔を近づけると鶏系のかおりが広がる。濁りけのあるスープにやや大きめのチャッチャ脂がごろごろと浮かぶ京都風のいでたちだ。
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麺は中細ストレートである。一口食べてみるとしっかりと鶏を感じる醤油系の味わいが口いっぱい広まる。ん?見た目の割にあっさりしているぞ。京都風のガツンとくる醤油かなと思いきや、角がなくなめらかだ。それでいてしっかり動物を感じるコクのある鶏系スープだ。あっさりなのに飽きがこない。これが戦後間も無くより愛され続けた歴史ある味わいか。
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煮卵もかなりあっさりとしていたが、漬かっているのがほのかにわかる、こちらも上品な味わいだ。肉は薄豚バラが二枚ほど入っているが、臭みがなくて大切に食べたくなるものだ。
正直パンチ系醤油好きの私にはこのラーメンに中毒性は感じられず、先週訪れたお店のように、来週も来よう!とはならなかった。しかし、このラーメンは数多ある中華そばの原点であり正解であるのは間違いない。友達を連れて行きたいお店である。京都でラーメン好きを自称するうえで必修のお店である。来て本当によかった。
大きい声のおっちゃん店員さんたちに送り出されて、雨の一乗寺を後にする。スープを何遍もすくって飲んだのに胸にもっさり感はない。あんなに鶏を感じたのに不思議だ。
ラーメンの世界は奥深い。ゆっくりと自転車を漕ぎ、軒を連ねるラーメン屋を覗きながら帰る。
一乗寺は私にとって雨の日でも楽しめるエンターテイメント施設だ。来週もまた来るか。
ごちそうさまでした。
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