地層処分と風力発電

6月7月と、2回に分けて道北を周った。
まずは、エゾニュウが大きい。

手前の植物がエゾニュウ

 私は地域によって異なる植生の違いを見つけるのが楽しみだ。

 私が住むエリアのエゾニュウと言えば目立たない存在だ。
 もし今回の道北の旅でこのように大きなエゾニュウに出会わなければ、私はこの植物の名前を知らなかっただろう。

 エゾニュウとの出会いに嬉しくなって、幌延町トナカイ観光牧場へ。

 入場料は無料で、トナカイの餌だけ100円。

トナカイはエサを優しく食べる

 トナカイは記憶の中で、サンタさんとセットとなり、限りなくフィクションに存在だった。
 まさか実物にお目にかかれるとは思わなかった。

 餌は、フスマ、コーンなどをペレット状にしたものだった。

金網は2M位の高さ

 餌の入ったプラスチックの蓋をガサガサしていたら、トナカイ達が寄ってきた。

 トナカイ達の反応には個性がある。

 やっぱりポーッとしている子は気づくのが遅いし、目力が強い子はしっかり餌がくる方向に移動する。
 そうかと思えば、水釜で水浴びをしたそうな子が、水釜に乗ろうと試行錯誤している。
 身体をぶつけ合っている子達もいる。
 個性豊かなトナカイ達だった。

 トナカイ観光牧場にはノースガーデンも併設されている。
 冷涼な気候の下で育つ高山植物達が集まっている。
 チングルマも久しぶりに見た。

初めて見たのは旭岳と言う山の上だった

 私が見たかったのは青いポピー。

 本当だったら1,000株見れるはずが、一昨年の温暖化や種の輸入コストの問題などで、今年は1株だけ頑張っているのだと言う。

 その1株を見つけることができた。
 しかもちょうど見頃だった。

道北に咲く幻の青いケシ

 名残惜しくも、次の目的地へ。

 そこは、「幌延深地層研究センターゆめ地層館」と言う。

 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構がやっている施設で、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発を行っている。
 現在進行形で深度500Mに向け掘削が進められていて、地層に走る水の流れを調べたり、放射性廃棄物をガラスで固めたものをステンレス製のキャニスターと言う容器に入れ、更にオーバーパックと言う金属製の容器に入れ、更にその外側を緩衝材ブロックと言う粘土で覆って、これを地中に埋めた時の地質環境への影響を調べたりしているようです。
 ガラスで固めたものは冷え切るまでに30〜50年間冷却されながら貯蔵される。日本では東海村と六ヶ所村に保管されている。
 そして最終処分場候補地として、2017年から北海道の寿都町、神恵内村が候補地として文献調査が開始された。

ガラス固化体を包むキャニスター

 掘削中に地層から排出される水は1日に50㎥、工業用排水を含めると、1日に200㎥もの排水を排水処理施設で処理しているそう(無害化して天塩川へ)。
 地下から出た土は「ズリ山」になる。
 古墳時代なら王の古墳になっていた所だ。 

 実際に500Mまで降りて行く擬似体験もできて、かなり楽しく学べる施設になっている。
 「実際に坑道を歩ける日も年に何回かあります」と言う話を解説員さんから聞き、その日がいつだったか自宅で調べる自分を想像していた。

45Mの展望階から見た利尻富士

 海外の同様の研究を見ても、「具体的な研究方法は未定」な国がまだまだ多い。
 国同士の競争には負けたけれど、こう言うところ、日本は進んでいるのだなあ。

 また来るような気がすると思いながら、オロロンラインを目指した。
 途中で寄り道したサロベツ湿原は、見渡す限りに広がっていた。

サロベツ湿原

 オロロンラインのオロロンは、海鳥のオロロン鳥から来ている。

オトンルイ風力発電とエゾニュウ

 風力発電はゼロ・カーボンの再生可能エネルギーとして、世界各国で導入が進められているが、日本には風車メーカーがなく、また風況の良い平地が限られているようだ。

 オトンルイの風車は1基の高さが100Mほど。来年3月までに解体されるそうですが、宗谷地方の他の自治体では、風力発電所の建設ラッシュとのこと。

 鳥類への影響が心配なので、調査は続けて欲しい。

今回の旅で移動したルート

トナカイ観光牧場
〒098-3224 北海道天塩郡幌延町北進398-1

ゆめ地層館 
〒098-3224 北海道天塩郡幌延町字北進432番地2

サロベツ湿原センター
〒098-4116 北海道豊富町上サロベツ8662

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?