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京極派スペース~和歌と歴史の交差点~ アーカイブページ


心のまゝにことばのにほひゆく

堅苦しい約束事に囚われる必要はない、歌とは心のままに詠むべきものなのだ、
その心を表すために必要ならばみやびな言葉でも俗語でも使って構わないし、掛詞や本歌取りといった技巧も排除するものではない。
しかしまず第一に心が来るべきであって、先例や技巧が心に先立つものでは決してない……。


歌を詠み散文を書くにはまず古物語の教養が当然の前提となるし、『古今集』のあらかたを暗誦していなければ恋を始めることもできない、
といった時代から遠く隔たり、心のままにありのままにと歌を詠むことの推奨される第?次短歌ブームの昨今、
このような主張を見ても「さて、何を当たり前のことを」と首を傾げられてしまうかもしれません。

しかし、こうした主張が極めて斬新であり、主流派からは異端的であると責められる時代がありました。

鎌倉時代後期から南北朝前期、この「心の絶対的尊重」ひとつを歌論と掲げ、それ以外のすべては詠者それぞれの自由であるとする和歌グループが誕生。
和歌史に燦然たる輝きを記録したのちわずか70年ほどで消えていったのが、現在我々が「京極派」と呼ぶ集団です。

沈み果つる入日いりひのきはにあらはれぬ霞める山のなほ奥の峯 京極為兼ためかぬ
つくづくと春日はるひのどけきにはたづみ雨の数みる暮ぞさびしき 九条左大臣むすめ
我も悲し草木も心いたむらし秋風ふれて露くだる頃 伏見院
入相いりあひの声する山のかげくれて花ののまに月いでにけり 永福門院
つばくらめすだれのほかにあまたみえて春日はるひのどけみ人影もせず 光厳院


どのような時代背景があり、京極派は誕生し、そして消滅していったのか。
現代の短歌作者たちがまるで当たり前のように思っている「心の絶対的尊重」という歌論が、当時どのように新しく、またその実践がどのように困難だったのか。
京極派の「心のまゝに」と現代短歌の「心のままに」とは、いったい何がどう異なるのか。
一見易しく、誰にでも詠めそうな京極派和歌の特異性は、どのようなところに見出せるのか。
前期京極派と後期のそれの違いは。

こうしたことをX(旧Twitter)のスペース(音声配信機能)にて気ままにお話ししたもののアーカイブを、こちらにまとめ、随時更新して参ります。
時にひとりで語り、時に聞き手のいる形でお話するXスペース。毎週土曜日21時(翌朝の早い日は20時など)開始と予定しております。
こちらにまとめてゆくアーカイブをお楽しみいただくのと合わせて、リアルタイムでの視聴やコメントでのご質問、応援も頂けましたら、大変有難いです。
「こんな話が聴きたい」といったリクエストも、配信中、また配信前のコメントでお気軽にお寄せくださいね。

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3月30日前半
京極派の誕生した時代背景。両統迭立の始まるあたりで切れてしまいました……。


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スペースの切断に気づき、再開。秋好左中将さんにご協力いただきながら、『玉葉集』の完成するあたりまでをお話しました。
え、録音されていない……??? まさかの、幻の音声になってしまいました……。


京極派プチガイド

数年前の執筆になりますが、京極派について初めて触れる方向けの小レポートをこちらで公開しております。
合わせてご活用ください。

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