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『源氏物語』「寄生」 ~梶間和歌の宇治十帖本説取りチャレンジ~

割引あり



もとあらの小萩、はしたなく待ちえたる風の景色なり。折れかへり、露もとまるまじう吹き散らすを……

『源氏物語』「野分」

しをれふす枝吹きかへす秋かぜにとまらず落つる萩のうへの露
風雅和歌集秋上480(470)


御格子など参りぬるに、後めたくいみじと花の上をおぼしなげく……

『源氏物語』「野分」

風にさぞ散るらむ花の面影の見ぬ色をしき春の夜の闇
玉葉和歌集春下256


五月雨の空、珍らしう晴れたる雲間に渡り給ふ。……過ぎがてにやすらひ給ふ。折しも郭公ほととぎす鳴きてわたる。……二十日の月さし出づる程に、……郭公、ありつる垣根のにや、同じ声に打ち鳴く。

『源氏物語』「花散里」

ほととぎす声さやかにて過ぐる跡にをりしも晴るる村雲の月
玉葉和歌集夏331


前期京極派代表歌人、九条左大臣むすめの試みに敬意を表し、
『源氏物語』「宇治十帖」を『湖月抄』で読みながら梶間和歌がその場面や自然描写を和歌に本説ほんぜつ取り(物語取り)してゆく企画です。
登場人物に成り代わったり、純粋に叙景的な歌を試みたり、詠み方はさまざまになるかと思います。

長い長い旅路になりますが、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。

『源氏物語』「寄生やどりぎ」 ~梶間和歌の宇治十帖本説取りチャレンジ~

薫に皇女との縁談が持ち上がり、宇治の中君を自邸に迎えた匂宮と夕霧の六君との縁談も本格化します。
不安定な状況に懐妊の体調不良も加わり、後見役である薫に頼る気持ちの増す中君に、薫は……。

過去に歌にしなかった箇所にさかのぼって歌を詠む場合があり、物語の進行と引用の順が必ずしも一致しない場合がありますが、
新たに詠んだ歌は下に下にと書き加えてゆく予定です。

この先は有料記事となります。
ご自身の詠歌の参考にしていただくぶんには一向に構いません。どうぞお役立てください。
ただ、画面のスクリーンショットや歌の外部転載はご遠慮くださいませ。


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