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雑感:やりがいあるなら法令違反でも働きますか?

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで。

 ブラック企業という言葉が世に広まりだしておおよそ10年近く経とうとしています。しかし、未だに過労による労災認定が後を絶ちません。今回はブラック企業の語り口の1つであるやりがいから書いてみたいと思います。

1.やりがい搾取&やりがい搾取の一例

 やりがい搾取とは、労働者の「やりがい」を利用して、雇用主が従業員に不当な長時間労働・低賃金で業務を強いて、利益を搾取する行為で、東京大学大学院教育学研究科教授・社会学者である本田由紀氏が2007年前後に定義した労働搾取構造を意味します。(引用: https://romsearch.officestation.jp/jinjiroumu/mentalhealth/5014#i-3 )実際にその一例を見てみましょう。

 上記動画は、兵庫県三田市にある人気洋菓子店「パティシエ エス コヤマ」の運営会社が社員らに「過労死ライン」を超える月100時間超の時間外労働をさせていたとして、今年までの3年間に2度にわたって、伊丹労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが判明したというニュースです。読売新聞オンラインに掲載されいた同様のニュース記事によると、同社の製造部門では「 LINEライン 」のグループチャットで、出退勤時刻を管理職と共有する仕組みで、従業員のLINEの履歴によると、従業員は昨年(2020年)のクリスマス前、午前4時頃から午後9時頃まで働くこともあったり、3日しか休みがない月や、時間外労働が200時間を超える月もあり、月の時間外労働が300時間を超える人もいたということです。従業員は「みんな小山さんに憧れて入社した。ボロボロになっていく姿を見るのはつらい」と訴えたそうです。

 この洋菓子店のケースで言うと、憧れの人(パティシエ)がいる即ちそこでキャリアを築いていく過程においてのベンチマークがありそれをやりがいにしていたけれど、実際は労務管理が杜撰で使い捨ての部品の如く辞めていく姿が後を絶たなかったようで、憧れと現実のギャップみたいなものに出くわしたんだろうと思います。

2.丁稚奉公だから仕方ない?

 丁稚奉公という言葉があります。goo辞書で調べてみると、次の意味だという事です。

商店などに丁稚として奉公すること。転じて、年少のうちから下働きとして勤めはじめること。

 丁稚とは一般的に弟子という意味を持つ言葉で、弟子が師匠に憧れて仕事をするんだからある程度の理不尽さは受け入れなさいというロジックも成り立つかもしれません。また憧れの人に少しでも近づく上ではそれ相応の努力は欠かせません。人によって違いはあるかもしれませんが、日本人は元来勤勉な性質と言われていて、この勤勉さは長時間労働に適しているという感情的な側面から肯定できるかもしれません。(参照:『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』中原淳 , パーソル総合研究所 (著) pp94~100)しかし、だからといって法令違反な働き方を是認して良いものではないと私は思います。

3-1.組織

 ここからはいくつかのキーワードをピックアップして、やりがい搾取への対抗策(考え方)を書いてみたいと思います。1つは組織です。

 例えば、会社として組織が成り立つ上では利益は欠かせません。しかし、利益よりも大切な価値観を会社として持っていて、それが競合他社とバッティングした際に利益を捨てて大切にしたい価値観を選択できる企業であればどうでしょう?。その価値観が例えば一定年数経た未来への投資として人材育成をしていくという価値観ならば、私達はまだまだ生まれたてのヒヨコみたいなものだけど、将来会社で一人前となるために場数を踏ませてもらえているんだ・そして、これだけの待遇はその期待の裏返しなんだと想えたら、同じやりがいでもポジティブで人間味あふれるやりがいに想えるかもしれません。(参照:『人が集まる会社 人が逃げ出す会社』下田 直人 (著) pp74~77)

 このアプローチはエンゲージメント(定着)の観点から疑問視がある可能性をはらむ一方で、やりがい(憧れ)と法令順守を両立することで熱量高く働くことができる可能性もあります。しかし組織を変えるというのは想像以上の労力が必要で、一朝一夕で変わるものではありません。

3-2.情報を精査する力

 ブラック企業という言葉の生みの親と言っても過言ではないNPO法人POSSEの今野晴貴氏は『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』の中で、一部の悪徳なキャリアカウンセラー等が自己分析という名の高圧的な全否定を行う事で、就活生から冷静な判断を奪っている事を危惧しています。(参照:pp193~196)つまり、誰に相談をするのか?どんな情報にアクセスをするのか?というのはトライ&エラーの繰り返しの側面が強いため、色んな情報・人間にアクセスをしてそこからどうやって精査をするかという力が求められていると私は思います。その過程において、最近知ったこのサイトは推奨の1つだと私は思います(URLを貼りつけておきますので、皆さんの目で見てみてください)。

4.終わりに

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 上記画像は、エン・ジャパンが総合求人・転職支援サービス『エン転職』上で、ユーザーを対象に「仕事のやりがいと楽しみ方」についてアンケートで、仕事において、やりがいは必要だと思いますか?(上段)と「必要だと思う」と回答した方にお聞きします。必要だと思う理由を教えてください。(下段)についての回答のグラフとなります。( https://corp.en-japan.com/newsrelease/2018/14502.html )やりがいが、その人の仕事人生にハリとうるおいをもたらす可能性を秘めている半面、やりがいを逆手に取って法令違反を正当化する手段として使う企業もいるという事を忘れず、無理せず働いていきましょう。

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