雑感:病気×仕事(キャリア)

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで。

 個人的にはなかなかにショッキングですね。ラブライブ虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(以下、虹学又はラブライブ)の優木せつ菜・中川菜々役で出演されている声優の楠木ともりさんが、遺伝性疾患「エーラス・ダンロス症候群(関節型)」という難病により役を降りるという報道がありました。難病情報センターのホームページによると、皮膚、関節の過伸展性、各種組織の脆弱性(もろさ)を特徴とする遺伝性疾患で現在国際分類で示された病型は13あるとのことです。今回楠木さんに診断された間接型は、関節の過伸展性が中心(脱臼・亜脱臼)です。慢性難治性疼痛、機能性腸疾患(便秘や下痢を繰り返す)、自律神経異常(立ちくらみ、動悸など)など多彩な症状が見られることもあるとのことで、関節の痛みは演じている声優がキャラと一体という形でライブパフォーマンスをしていくラブライブのコンセプトを考えると、楠木さん当人にとっては苦渋の決断なんだろうなという想いは汲み取る事ができるし、悔しいだろうなと思います。

 このように、病気は時としてキャリア選択に大きな影響を与える要因であるのは声優に限らず多くの方にあると思います。今回は、これを題材にして書いてみたいと思います。

1.病気×仕事(キャリア)の実情

 独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成30年に発表した調査によると、休職から「復職した」とする者を対象として、復職後の勤め先による働き方の見直しの状況(複数回答)については、具体的な見直し内容をみると、「残業・休日労働の制限・禁止」(17.1%)、「所定内労働時間の短縮」(16.7%)、「業務量の削減」(15.9%)、「仕事内容を変更した(軽微な作業に就ける等)」(13.3%)などとなっているとのことです。

 また、疾患に関連する退職理由として、「仕事を続ける自信がなくなった」(23.3%)がもっとも多く、次いで、「会社や同僚、仕事関係の人々に迷惑をかけると思った」(15.7%)、「治療・療養に専念するため」(14.6%)、「治療や静養に必要な休みをとることが難しかった」(12.9%)、「残業が多い職場だったから」(10.7%)などが続きます(下図)。

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 一方、病気を抱えた人が就職(転職)活動を進めていく上での具体的な不安内容として多かったのは「病歴を伝えると採用につながらないのではないか」が43.3%で、続いて、「病気の治療状況を企業側にどこまで伝えたらよいかわからない」(31.3%)、「会社に配慮を申し出ることが困難」(18.5%)、「治療のための休暇取得の必要性を言いづらい」(16.9%)などとなっているとの事で、会社(組織)としてもある程度は配慮してもらえる傾向にある一方で、病気がきっかけで続ける自信が無くなって辞めるという選択を取るケースや就職(転職)活動を進めていく上で、企業側にどうやって理解してもらうか?や言う事で採用の過程において不合理な扱いをされるのでは?という不安が病気と仕事(キャリア)を支配しているんだろうなという印象を持ちます。

2.70歳定年制と健康の狭間

 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部改正が令和3年4月1日に施行され、その中で事業主にいずれかの措置を講ずるよう求める事ができるようになりました(下図)。

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 義務規定ではないにしても、定年を70歳までに引き上げたり定年制を廃止したりといったように、元気な高齢者は働いてほしいというメッセージが如実に伝わる改正だという事を考えると、そう易々と病気なんてできないようなぁという時代が少子高齢社会と共に訪れたんだなというのを感じます。

 一応健康保険では高額療養費制度をはじめとした医療費に関する仕組みや傷病手当金といった生活費に関する仕組みがあったり、ハローワーク内に設置されている専門部署や障害者就業・生活支援センターといった公的な機関による就活の後押しといった仕組みはあります。しかし、70歳定年を見据えた場合大卒22歳で入社した人で言えば定年まで48年期間があります。この期間中大病を全くせずに生きてこられたという人はごく一握りの可能性が高いです。だからこそ、病気を抱えたとしても働ける環境の地盤は今一度整備し直す必要はあると私は思います。


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