コロナの怖がり方 3.自粛と経済

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで

 今回は自粛と経済についてです。この投稿を書いている時は9月の4連休です。ニュースを見ると、どこの観光地も人が戻りつつあり新幹線や飛行機の利用者も緊急事態宣言下のどん底から比べて利用者の数は上向き傾向にあるようです。

 経済という側面においては幾ばくかのプラスに繋がるかもしれない一方で、感染の収束という面において今回の4連休で見受けられた人出が果たして、以後の感染者数の推移にどう影響するのか不安な側面はあります。

 皆さんも経験した緊急事態宣言ですが、その根拠となったのが新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、新型インフル特措法)の45条という条文です。45条の条文内に共通するキーワードとして協力の要請があります。要請は文字通りお願いです。つまり、45条内において該当する都道府県知事が持っている権限は強制ではなくお願いを住民へというベクトルです。突発的に生じ国内に混乱を生じる感染症を抑制する上で、制限を義務にするのが自然な流れなのかもしれないけど、この背景には憲法が関係しているのではないかと思います。

 憲法の教科書では憲法学説上における営業とは22条1項(職業選択の自由)と29条(財産権保障)の組み合わせで、権力から邪魔をされずに営業活動ができる自由が保障されていると言われています。(*1『憲法1 人権』渋谷・赤坂著:pp92)新型インフル特措法45条2項には学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができると規定されています。つまり、新型インフル特措法45条2項で規定する場所にはその会社が営業活動する場所が絡むため、要請に従って営業活動を取りやめるということは29条が保障する財産権の侵害に繋がることが懸念されています。仮に新型インフル特措法45条上の要請が命令や義務という形式の場合、憲法29条3項の問題が生じてきます。

 憲法29条3項は「私有財産は正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と定められており、新型インフル特措法45条の内容が命令や義務のような力強いものだとした場合、営業活動を取りやめることで生じる犠牲をどう判断するのか?(憲法学説では規制する行為の「特殊性」・「強度」・「目的」の3要素で判断するそうです )正当な補償とは、営業活動を取りやめたことで生じた犠牲全て(完全補償説)をなのか?それとも一定の線引きをして補償(相当補償説)するのか?(*1 pp107)をはじめとした議論があり、その辺の難しい技術を取っ払ってトップダウンでできる方法として新型インフル特措法45条でいう要請にとどまったのだと私は思います。そして、この要請は対象となった事業各社に大きな動揺と混乱を招いたのは周知のとおりです。

 実際、緊急事態宣言が全国へとなった4月16日の感染者数は576人ですが全国で解除となった5月25日の感染者数は21人となり、感染者数の減少に一定の寄与はあったのではないかと思います。(引用:  https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/ )しかしその代償として消費が冷え込み、内閣府発表の2020年4月~6月期のGDP速報値で-7.9%,年率換算で-28.1%となりました。( https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf )

 政府はとりわけダメージの大きい観光業・飲食業界対策の政策として観光業界ではGO TOトラベルキャンペーンを飲食業界ではGO TOイートキャンペーンを展開し、幾ばくかのプラスには働いているようです。予定ではありますが、GO TOトラベルキャンペーンに関しては現在除外となっている東京を発着とする旅行に関して10月1日から含める予定としていて、現状インバウンド需要が見込めない中で国内旅行に出かける人たちのパイをどれだけ奪い合うことができるのかで地域経済に与える影響は違ってくると思うし、それが国内経済にどのような影響を与えるのかは注視していかなければならないと思います。


 菅義偉内閣の基本とするキーワードとして「自助・共助・公助」を掲げていますが、現状の経済状態を鑑みたときにこれからインフルエンザのシーズンを迎えるにあたって、経済と感染の収束を両立させるためには公助という土台の強化無くして自助や共助を活発にしていくのは難しいのではないかと私は思います。要請という中途半端さがもたらした結果として自助の力を削がれ、自助でなんとかという部分へのエンジンがかかりにくくなっているのが現状の日本経済ではないかと私は認識しています。

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