政治語りな日本(オリンピック組織委員会森会長辞任についての雑感)

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで

 最近地味にバタバタしていてブログを書く気力もそこまで湧きませんでしたが、久方ぶりに書こうかなと思います。今回のテーマは、オリンピック組織委員会森会長の辞任についての雑感です。

1.辞任までのいきさつ

 簡単に辞任に至るまでのいきさつを振り返ってみたいと思います。

 後に火に油を注ぐ逆ギレ会見とも言われたこの会見でも組織委員会の森喜朗会長(以下、森会長)が女性理事が多いと会議時間がかかるという発言を発端としそれが女性を蔑視している発言なのではないかという批判を浴びました。森会長並びに組織委員会としては、この謝罪会見で一先ずの決着が着いたと想いたかったところでのこの会見が更なる炎上を招き、辞任へと追い込まれる事態となりました。

2.雑感1:性差の問題?

 もちろん、男女平等を強く叫ぶ世の中において森会長の発言のキーに性差が混じっているのであれば完全にアウトだと思います。ただ、100%性差をきっかけとした発言なのか?という疑問があります。

 政治科学者のジャック・ゴドウィンは著書『勝者の社内政治』で次の指摘をしています。

 政治においては、敵対者がいることは不適合でも何でもない。必要なことなのだ。政治は本来対立に関わるものであり、対立する力の発散と収束に基づく変化の過程である。これは、ある力が過剰になると、それに対立する力が否応なしに生ずることを意味する。(引用:pp207)

 ここで言う敵対者は誰なのか?ということになりますが、恐らくこの方を想定しているのではないかと推察できます(下記動画)。

 JOC(日本オリンピック委員会)の山口香理事です。山口理事自体は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の役員並びに評議員,顧問には名を連ねてはいませんが、相手が女性であっても男性であっても強く物をいうスタンスのお人故に、考え方という点で対立構造となることもあります。森会長の発言の背景には山口氏のような強いメッセージを発しようとする女性が疎ましく、それが女性という総称で本音が漏れてしまったのだろうと推察できました。

 つまり、性別に関係なく組織全体が進めていこうとする方向性と対となる意見を排除したい、そしてそれを述べることで排斥される可能性があるから同調する。今回の森会長辞任の前段であったという会議において、反論する者がおらず周辺から笑いが起きたという報道から察するに、それが組織委員会内における一般常識のようなものなんだろうと思いました。

3.雑感2:ナラティヴ

 経営戦略・組織論が専門の埼玉大学宇田川元一准教授の著書『他者と働く』にて、ナラティヴという考え方が紹介されています。ナラティヴとは、物語を生み出す解釈の枠組みを指しますが、ビジネスの文脈においては「専門性」や「職業倫理」、「組織文化」などに基づいた解釈が典型的だそうです。

 例えば組織委員会の組織文化が森会長の独裁的な文化だと仮定して、森会長自体が男尊女卑の考え方を未だに持っているのであれば組織全体がオリンピック憲章が定める”このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、 国あるいは社会的な出身、 財産、 出自やその他の身分などの理由による、 いかなる種類の差別も受けることなく、 確実に享受されなければならない。”という考え方を遵守する気なんてないという捉え方ができます。だけども、組織内においてこのムーブメントへ意義を唱える者がいて、組織が見ている解釈とオリンピック憲章が唱えている解釈の溝を埋めるためのアプローチがきちっとできていたら、今回のような事態には発展しなかった可能性は高いと私は考えます。

4.感想3:どうしても政治的ロジカルに走るんだねぇ...

 勿論、今回の森会長発言が今は政治家ではないとはいえ世界規模の大会を開催する組織のトップとしての発言故に、そのメッセージが日本国内における男女平等はまだまだなんだねというアピールとリンクしてしまうのは仕方がないことです。だけれども、それを僻み政治的ロジカルへ走らせたいと思う人達もいるみたいです。

 この発言はジャーナリスト櫻井よしこ氏がインターネット番組で、森会長の発言に対して批判した人たちへ向けて発した発言で次の内容となっているようです。

 「森氏非難の人達は中国のウイグル人ジェノサイドに対して森氏より何十万倍も激しい批判をすると信じたい。“沈黙は同調”と為末大さんも言ったが中国の虐殺に対して北京冬季五輪にも反対してくれるだろう」(引用: https://twitter.com/KadotaRyusho/status/1360567102860525571 )

 あくまでもあの発言で世界が非難したのは日本国内の男女平等についての部分で、そこからどうしたら中国によるウイグル人ジェノサイドの話に発展するのだろうか?と思いました。勿論、オリンピック憲章の点から見てもダメな行為だというのは言わずもながらですが、だからといって日本が示した事態について言及しないまま中国の話に持っていこうとするのはよっぽど中国が憎いのだろうと思うのと同時に、オリンピックというてこを利用して世界が政治的駆け引きをする道具となっているんだなという悲しさを覚えました。

5.終わりに

 今回はここで筆を置きますが、政治の点・組織論の点等、色んな分野においてモデルケースとなりえる事態だと私は思います。

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