直腸がんと食生活

坂本龍一氏が直腸がんとその転移がんのため、亡くなられました。2020年に直腸がんが見つかったときは、ステージ4という、5年生存率15%の段階に来ていました。

かくいう私も、2020年に直腸がんの手術を受けました。ステージ0という初期段階にあり、5年生存率は98%です。しかし、病巣が肛門の近くだったため、肛門を温存するために、がん病巣をごっそり切り取るのではなく、部分的に切除する方法が取られました。手術は完了し、経過観察のため半年ごとに内視鏡検査を行っています。そうすると、手術の跡に、小さいポリープが毎回出てくるのですよ。切り出したポリープを病理検査すると、がんになる手前の細胞だということです。どうやら、がんの芽のような細胞が残っているようなのです。ポリープが出てきたらまた切り取るという、このイタチごっこような状況はいつまで続くのだろう。と、思っていたところ、主治医と相談してまた手術することになりました。それによって、がんの芽がなくなるかどうかはわからないけれど、手術して切除したほうがよいということなので手術を受けることにしました。ステージ0といってもあなどれないのです。がんとの闘いは続きます。

坂本龍一氏のことに戻ります。彼は2014年に中咽頭がんになっていて、寛解しているのですが、その後食事の中身を変えたそうです。もともとマクロビオティックという菜食主義に近い食事を取り入れていたそうですが、さらに肉・酒をきっちりやめたようです。忌野清志郎氏も喉頭がんになってからマクロビオティックに変えたそうですが、その後亡くなられています。リンダ・マッカートニーもベジタリアンでしたが、乳がんで亡くなっています。私も坐禅をやっているので、禅寺の食事のような完全菜食に憧れを感じていた時期があったことも確かです。しかし、マクロビオティックなどの菜食主義は、健康な人が生活習慣病などを予防するのには向いているかもしれませんが、がんになった人が取り入れるのはよくないんじゃないだろうかというのが、最近の私の印象です。がんになった人は、免疫機能を高めて、がんと闘う力を維持していく必要があります。菜食主義ではこれには十分でない、どうしてもタンパク質、とくに動物性タンパク質が免疫の維持には必要なのではないかと思うようになってきました。

しかしながら、哺乳類界全体を見渡してみると、哺乳類を肉食する種類はがんによる死亡率が高いという研究報告を、以前の記事で紹介しました。また、ヒトにおいても赤肉は大腸がんの原因になると言われています。そこで、哺乳類肉以外のタンパク質である、魚介類、鶏肉、乳、卵をバランスよく取り入れていった方がいいんじゃないか、そんなことを思いながら、日々食べるものを選んだりしています。


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