腸内菌叢を調べてみた

近年、腸内菌叢と健康や病気との関係の研究が進んでいます。そして、自分の腸内菌叢を調べてもらえるサービスもだんだん普及しつつあります。最近たまたま、自分の腸内菌叢を調べてもらう機会がありました。

腸内菌叢の良し悪しや状態はどうやって判断するのでしょうか。一つ目は腸内菌叢の多様性が高いか低いか、二つ目はどういった菌で構成されているかというエンテロタイプ、三つ目は善玉菌や悪玉菌の量、といったところが判定されます。腸内菌叢の検査結果とともに、それぞれの項目の解説も見ることができるので、自分の検査結果を振りかえってみました。

細菌の種類が豊富であれば、腸内菌叢の多様性は高くなります。大腸がんを含むいくつかの腸や脳の疾患では多様性が低くなっており、多様性が高いほど腸内環境の安定化につながり、健康に良いとされています。私は直腸がんになったくらいなので、腸内菌叢はあまりよくないだろうと予想していました。で、調べた結果ですが、腸内菌叢の多様性はやはり平均値より低めでした。

エンテロタイプについては、いくつかの分類法があるようですが、ここでは4種類に分ける方法が採用されていました。バクテロイデス1型、バクテロイデス2型、ルミノコッカス型、プレボテラ型の4種で、食生活によってどのタイプになりやすいという傾向があるようです。私はバクテロイデス1型でした。これは、バクテロイデス属細菌と酪酸を作るフィーカリバクテリウム属細菌の割合が高いという特徴を持つエンテロタイプで、タンパク質の摂取頻度が高い人に多いという傾向があります。バクテロイデス2型は、慢性炎症や生活習慣病と関連しているということですが、それ以外の3種のエンテロタイプは、とくに疾患に関連しているわけではなさそうです。私のバクテロイデス1型は、酪酸を作りやすいようです。この酪酸は、もともと炎症を抑える作用があって身体によい物質であると言われてきました。しかし最近、酪酸には老化を促進する作用があって、大腸がん組織では量が多くなっているという報告もあり、一筋縄ではいかない物質です。

最後に、善玉菌や悪玉菌の量についてです。平均より多めだったのは、善玉菌の中では、代表的なビフィズス菌、酪酸を作るフィーカリバクテリウム属細菌、ブラウティア属細菌、悪玉菌の中では、エンテロバクテリアセアエ科細菌でした。ブラウティア属細菌は大腸がん患者では減少するとされているので、私は多めでよかったのですが、一方で、エンテロバクテリアセアエ科細菌は慢性炎症を引き起こすとされているので、良い菌、悪い菌が共存しているかんじではあります。平均より少なめだったのは、善玉菌の中の、ロゼブリア属細菌とルミノコッカス属細菌でした。ロゼブリア属細菌も酪酸を産生する菌です。ルミノコッカス属細菌は大腸がん患者で少なくなるということなので、私の病態である直腸がんとは相関しているのかもしれません。

このような感じで、私の持っている直腸がん(大腸がん)との関りを中心に腸内細菌叢の状態を考察してみました。結論として、とくべつ悪い腸内菌叢というわけではないのですが、酪酸を作る細菌が多いことが直腸がんの発生に関係していないだろうかという懸念が浮かび上がってきました。こうして、自分が持っている体質や病気と、腸内菌叢との関係を調べてみるのは興味深いものです。

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