中国漆器の世界
文:『和華』編集部 写真提供:CTP
そもそも漆器とは、器物の表面を生漆でコー ティングした日用品や工芸品などのことで ある。生漆で加工した器物は彩り鮮やかで、 摩耗に強く、腐食しにくい性質があり、千年 の環境の変化を経てもその美しさを失うこ とはない。漆工芸はアジア共通の文化要素 である。奈良、平安時代にかけて中国の炝金、 描金等の技術が導入され、日本の漆器にも また深い影響を残している。
四大漆器
揚州漆器
揚州漆器は、秦・漢の時代に制作され始め、当時からすでに工芸としてのレベルが非常に高いものだった。唐代の揚州漆工芸は鑑真により日本にまでもたらされた。明・清の時代には、 揚州は中国の漆器制作の中心地域となり、揚州漆器が一世を風靡した。揚州漆器は先の1910年と1915年、2001年三回の万国博覧会に参加し、すべての回で金賞を得た。
平遥漆器
平遥漆器職人の手による推光と描金の技巧で名をはせる。主 な工芸品には衣装箪笥、アクセサリー箱などの実用品や屏風、漆 画などの置物・インテリア用品がある。民族の香り高い図案が 題材となり、流麗な筆致と、調和のとれた色彩によって生み出された古典劇の登場人物、神話などが描かれた作品は、いずれも荘厳華麗である。
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