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祖父

祖父の夢を見た

昨年末に亡くなった祖父は
いつものように
リビングの緑色のソファーに座っていた

一昨年の夏、
心肺停止状態になり
病院に運ばれた祖父は
一命を取り留め
そこから1年半生きた

「おじいちゃんは1回死んだようなもんだ」

と笑っていた


夢の中で祖父に話しかける

「おじいちゃんさあ
1回死んで生き返ったんだから
もう1回生き返っちゃえばいいじゃん」


祖父は笑っていた


「無理なの?」

と聞くと

祖父はなにも答えない

ただ笑っていた


祖父が亡くなって3ヶ月弱
初めてのお彼岸である
既に何度も祖父の夢を見ていた

私は元々よく夢を見る人間で
亡くなった人の夢を見ることもよくあるのだが
ここまで夢に出てくるのは珍しい

寂しがり屋な祖父らしい

亡くなる寸前まで
自分の娘の助手席で雑談していたような祖父だ

なんなら、まだ自分は生きていると思っていそうな勢いである

でも
確かに冷たくなった祖父の温度を
私は覚えている

当たり前だが
間違いなく祖父はもうこの世にはいない

祖父が亡くなった日の夕焼けが
何故か頭から離れない

祖父はもうこの空を見れない
祖父の時間は止まった

なんだかそう実感させるような空だった

この街の夕日を
祖父は今まで何度見たのだろう

今でもやっぱり
あの家に行けば
緑色のソファーでタバコを吸って
みんなに家の中で吸わないでと怒られながら
「おう、よく来たな」

迎えてくれそうな気がしてならない


祖父の夢を見た日は
母親に電話する

夢の中のエピソードを話すと
母が笑いながら、少し泣いているのが
電話越しに伝わってくる


私も母も
その会話の最後に思うことは
祖父に会いたい、という事だ

祖父と
13年前に亡くなった祖母が眠るお墓に
明日は行こうと思う



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