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島根県はICT活用指導力が全国最下位!

島根がついに最下位に

先日、文科省が毎年行っているICT活用の実態調査結果(概要版)が公表されました。
令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)[速報値] (mext.go.jp)
わが島根県は、ICT活用能力の4部門全てで、ついに全国最下位になりました。

この調査は、教員の自己評価を集計したもので、自分を謙虚に評価してしまう県民性が影響しているかもしれません。しかしながら、4月の全国学力テストの子どもたちの意識調査でも、授業でICTを活用していると答えた割合が、島根県は全国に比べ10%以上下回っていました。遅れていることは事実として受け止めなければなりません。

私は、4年前までICT活用教育を推進する県内の先生たちの団体の会長をしており、退職後は、県内のある市の教育委員会でICT教育を推進する仕事をしていますが、大変悔しい思いをしています。

私が会長をしていた頃は、GIGAスクール(1人1台端末とICT環境整備で子ども一人一人に適した深い学びを実現しようとする国の施策)が始まる前で、島根県はいつも30位台で低迷していました。何とか順位を上げよう!活用力をアップさせよう!ということで県内の先生方の研修会を各地で行ったり、全国大会を開催したりすることでICT環境の整備を行政に働き掛け、教員の意識を変えていこうと取り組んでいきました。

3年前に全国大会が成功し、気運は盛り上がりましたが、その後GIGAスクールが始まり、全国的にICT環境の整備が学校現場で進みました。島根県よりも遅れていた自治体でも環境整備が進み、ICT活用が進んできました。つまり、30位台後半を走っていた島根県は、GAGAの全国の波に乗ってスパートした後続の県にどんどん抜かれて、ついに最下位になってしまったという感じです。

どうして?

現在、市教委のICT教育を推進する仕事をしている私にとって、県全体を動かすことはもうできません。でも、かつて推進しようとした県内のICT活用教育の推進を願う気持ちをなくしてはいません。

そこで、島根県でGIGAスクールがなかなか進まない原因を考えてみます。

(1)ICT環境面の問題

なかなか現場での活用が進まない理由は、教師用タブレットの不足やすぐに使えるドリルや学習者用デジタル教科書がまだ普及していない等の遅れがあること。
また、学校のインターネット回線が十分でないので、クラウドを活用した授業ができにくい、更に、全家庭のWi-Fi環境が整っていないので、タブレットの持ち帰りがまだ進んでいない等のハード面での課題もあります。
さらに、ICT支援員のようなサポート態勢が整っていないという状況も見られます。児童生徒の1人1台のタブレット端末は入ったけど、それを生かすICT環境や支援態勢が整っていないというのが一番の理由だと思います。

そして、やっと1人1台のタブレット端末が実現したのですが、全国では、GIGA以前には、普通教室にPCが1台とか数台は使える状況で、授業にICTを活用していたのが一般的でした。

ところが、島根県の東部の都市では、教室にインターネット回線がない教室が多く、実物投影機とプロジェクターを使うのがICTといった状況も見られ、全国的にもかなり遅れている状況でした。

つまり、全国的には一般的だった「授業でパソコンを使う経験」が圧倒的に不足していました。教師がまずPCを使ってみる経験をする段階を飛び越して、一気に1人1台の児童生徒用端末が学校に入ってきた感じです。

(2)現場の教職員の意識の問題

こうした環境面での課題もありながら、一番の問題は、授業にICTをどんどん活用して授業改善をしていこう、子どもたちのICT活用能力を育てていこうとする教員の意識が不足していることが原因だと思っています。これは前述したように教師自身がPCを授業で使う環境が少なく、ICTを活用することのよさや必要性を感じる段階がなかったことが大きく影響していると思います。

(3)県のリーダーシップは?

GIGAスクールがうまく進んでいる自治体は、県教育委員会がリーダーシップを発揮して、設置者である市町村と連携して取組を行っています。残念ながら、島根県は、県の具体的なGIGAスクールのビジョンが示されてはおらず、市町村任せといった状況で、特に、教職員の研修の面では弱いです。

では、どうしたらよいのか。待っていても改善されそうにない。

ならば、自分のできるところからやっていくしかない!

・・・

(次号に続く)

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