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ロシアのウクライナ侵攻について思うこと|サウナーとして、一個人として

ロシアがウクライナに侵攻し始めてから3日が経ちました。武力行使は断固反対です。一刻も早い停戦を望みます。

サウナーとして、また一個人の思い出から考えることは、ウクライナの方の苦しみを一番に慮った上でですが、良識あるロシアの方やロシアの文化もまた、その尊厳を傷つけられてしまった、ということです。

私は2018年にロシアのウラジオストクを2度訪れました。凍てつく寒さの中で体験した、ロシアのサウナ「バーニャ」は最高でしたし、ロシアの食べ物は日本人好みの味でとても美味しいんです。人も親切でした。バーニャで薪をくべてくれたおじさん、市場のおばさん、タクシーを呼んでくれたお姉さん。今でもはっきりと顔を覚えています。

もう18年前になりますが、ドイツに住んでいた頃は、ロシア人の友達がいました。意外に思うかもしれませんが、ドイツにはロシア人がたくさん住んでいます。ドイツに於いては同じ外国人同士ということもあり、話が合いました。ロシア人の友人から「ぼくたち、同じアジア人同士だね」と言われたことがあります。全く見た目の異なる私たちが同じアジアにカテゴライズされることに不思議な感じがしましたが、同時に親近感がわきました。ロシアのカテゴリーは地理、歴史、政治など視点によって変わりますが、地理的にはウラル山脈の東側をアジアとくくる分類法があるようです。

そんな個人的な思い出もあり、私はロシアの人や文化が好きです。

繰り返しになりますが、ロシアが武力行使をすることには断固反対です。ロシアという国家が取った方針に、賛同できる余地は一つもありません。ですが、国家と、国民や文化は必ずしも100%イコールではない、ということも頭に留めておく必要があると思います。

ウクライナへの侵攻について、ロシア国内で、大多数のロシアの方が実際にどのような考えをお持ちなのか、私には分かりかねますが、国内で反戦デモが行われているといったニュースも伝わってきています。そのような善良なロシアの方、そして私が今まで個人的に出会ったロシアのみなさんの、ロシア人としての尊厳が傷ついてしまったことを悲しく思います。

私は、全世界が誰も彼もウィンウィンでピース、という状況は難しいと考えています。

資源をはじめとする地理的な優劣や、歴史、宗教、政治、経済、軍事などが複雑に絡み合っているからです。世界は、崩れそうでくずれないジェンガの上にある、と考えています。手前の棒を抜けば、こちら側が崩れ、奥の棒を抜けば、あちら側が崩れ……といった具合です。各国には各国の思惑があり、互いに駆け引きをしながら危ういバランスの上にいます。そのジェンガに対して武力行使をすれば、こちら、あちらなどといった局所的な崩落で収まるはずはなく、世界は総崩れです。

ウクライナから遠く離れた日本にいると、どこか対岸の出来事のように感じますが、世界が一つのジェンガだと考えると、日本にも影響があることは明白ではないでしょうか。一番分かりやすいのは経済的な波及です。この記事を書いている2022年2月27日(日)時点の(つまり前取引があった金曜日時点の)NY市場は一時的に落ち着きを取り戻してしますが、ロシアの侵攻が長期化すれば世界市場に影響が出てくることは明らかです。また、ロシアはエネルギー資源大国ですので、エネルギー価格の上昇も懸念されます。

そして、普段あまり意識していませんが、ウクライナと同様に、日本もまたロシアの隣国です。

私が一番に望むのは、各国の対話で世界というジェンガのバランスを保つ、あるいはバランスを改善していくことです。武力は、侵攻する相手を傷つけ、自国の良識ある国民や文化を傷つけ、世界を傷つける、最も愚かな方法だと考えます。

トップの写真は、ロシアのサウナ「バーニャ」です。
バーニャは、ロッジ一棟を仲間同士で貸し切るタイプが主流です。ロッジの中には、サウナ、シャワー、リビングがあって、部屋の中は真冬でも顔がほてるほど暖かく保たれていました。

12月のウラジオストクは、マイナス15度〜マイナス20度と、関東とは比べ物にならないほどの寒さです。手持ちの暖かい洋服をありったけ着込んで行きましたが、それでも屋外を歩いているとじわじわと寒さが体に染みます。着込んだ服の重さも加わって、体はバキバキに。
そんな中で体験したバーニャの暖かさは、そのままロッジで眠ってしまいたくなるほど、とろけるような心地でした。

フィンランドでは、サウナの合間にビールを飲むようですが、ロシアではアルコールは飲まないのだそうです。ウォッカなどアルコール度数の高いお酒を飲む、酒豪のイメージがあるので、意外な感じがしますよね。サウナのお供には紅茶を飲むのだとか。

戦争も感染症も無くなり、また穏やかにバーニャを楽しめる日が来ることを待ち望んでいます。


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