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コロナ一杯

コロナウィルスが流行っているらしい。ドラッグストアに行ったら、マスクコーナーに「マスクが品薄です」と貼り紙がしてあった。LINEニュースの見出しでマスクが品薄だというのをちらっと見たことを思い出して、ほんとにそうなんだ!と思った。

わたしの家にはテレビがない。正確には、ちゃんと我が家のリビングにはワンルームには似つかわしくない42型の大きなテレビが鎮座しているのだけど、電波を受信するアンテナが壊れているのでテレビが映らない。今の家に引っ越すときに友だちのお姉ちゃんのお古をいただいたのだけど、引っ越した翌日にアンテナが寿命を迎えてしまったのだ。それ以来、わたしの家のテレビはネット配信をChromecastで映し出すただのモニターになってしまった。そんな生活をもう3年近く続けている。

テレビがないとどういうことになるかというと、世の中のニュースが一気にリアルさを失う。コロナウィルスが流行っているらしいということはネットニュースで目にしたことはあるけど、マスクを買いに走るほどの緊張感には襲われない。
つい先日、職場で中国への出張禁止命令が出た。チームメンバーに「テレビを見ないから、これほどのこととは知りませんでした。」と告白すると、いろんな人がテレビ番組でいかにおそろしく報道されているかということを熱っぽく語ってくれた。中国にチャーター機を飛ばしたとか、チャーター機で帰国した人のうち2人が検査を拒否したとか、中国に行ったことがない人も感染しているとか、奈良のバス運転手とか、荏原病院が受入をやるとか、あの病院はわたし昔ひどい目に遭いましたとか、そもそも武漢ってどこなんだとか。熱く語るみんなの背後に、シリアスな顔をしてコロナウィルスの恐ろしさを語るニュースキャスターが見えた。わたしの中では安藤優子さん。

聞いたすぐあとはそんなにすごいことになっているんだったらマスクくらいしようかなと思ったけれど、家に帰ったらコロナウィルスの情報が一切入ってこないので忘れてしまった。次の日会社に行くとチームメンバーが「今朝もニュースでコロナウィルスのことをやっていて、怖くて…。」と話していた。毎日聞かされ続けたら、それは怖いよなぁ。

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