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評論 情緒と言い訳
都会に住む人は特にだと思うのですが、やはり日本人は、いまだに風情を好むようです。
風情というのは、外からの刺激の要素が強いですが、それによって左右や上下に振られて形成されるのが、情緒です。
我々は、以外と論理性や道徳心、義理や人情よりも、感情や行動の多くを、情緒に支配されているそうです。
喜び、悲しみ、怒り、諦め、驚き、嫌悪、恐怖……。それらをまとめて、気分。
つまり人間とは、極めて情緒的な動物で、その時々の気分に振り回されているということになります。
そんな人間……人類の中でも、どう考えても、私は、相当情緒的な人間だと言わざるを……そして認めざるを得ません。
情緒的な人間の多くは、空気を読みます。
中には読みすぎて、精神がぐらつく人が居ます。それが、情緒不安定です。
これは、心のアレルギー……過剰反応。
私はそれを、精神的花粉症と呼んでいます。
空気を読んで、どの段階で精神が不安定になるか?
それを、きっちり把握して、見切るところから始めて、次に影響を受けてささくれだった精神のノイズを除去します。
普通の人はそれを、脳みその端にあるゴミ捨て場に捨てるのですが、そこはあくまで仮の置き場で、焼却設備は備わっていません。
多くの、特に社会性が保てている外面がいい人ほどそれに気づきません。
やがてゴミ箱から生ゴミが溢れ出し、それがバレないように、脳が官僚的に働きます。いわゆる裏工作です。
騙す相手は、人体の主体的役割を担う主たる意識です。
その意識が、本質から目をそらさせるように……本質に気づかぬように、腰痛や偏頭痛をわざと起こすのです。
これを専門用語で、TMSといいます。
TMSとは、「Tension Myositis Syndrome」の略で「緊張性筋炎症候群」と訳せます。
この炎症とは、筋肉内に何らかの変化が生じているという意味であり、この理論を唱えた、サーノ博士は、TMSの定義を、「痛みを伴う筋肉の生理的変化」としています。
人間は、この仕組みをよく理解して、なんらかの形で、溜まったゴミを焼却せなあかんのですが、なかなかこのことは知られていません。
ところが、私の場合は、そのゴミを再利用して、リサイクルして、なんとか生きています。
その、リサイクルされたものが、「歌」や「小説」などの作品です。
おそらく、それが正しい創作スタンスだと思うのです。
でもやっぱり、リサイクルではなく、最初から企画されて作られた商品が売れるのでしょうね。
リサイクルした、少し色がついた紙よりも、バージンバルブから作った、真っ白な紙の方が……そもそも買う時に安いですからね。
けれども、さらに翻って考えてみると、人間なんて、全員、誰でも、丸ごとリサイクル品なのではないでしょうか?
知識も感情も環境も言語も判断も、さらには記憶までが、使い回しであるような気がします。
その、永遠のリサイクルの中から、いかに少しでも異なる成分を生み出すか?
それが多分、何かを創る。
作るでも造るでもなく、創る。
つまりクリエイターと呼ばれる人間が、無意識に取り組んでいることなのだと思います。
無意識……本能的に核心をつかんでいるからこそ、そこに天才性が認められるのです。
そして、天才が持つ価値観軸は独創性であり、共感されたいという潜在的な欲望は高いですが、再現性……つまり、資本主義的な合理性を追求した生産システムには、まったく興味がありません。
これが、かろうじて人類の一部である私が存在する、言い訳の一つなのです。
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