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関西学院中学部&高等部の思い出

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学生時代、関西学院中学部 関西学院高等部 の思い出にまつわるエッセイです。還暦を迎える2020年、ウイルス自粛のゴールデンウィークに、記録目的で、アップしていこうと考えました。同…
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2020年9月の記事一覧

エッセイ 逝にて帰らぬ

エッセイ 逝にて帰らぬ

 私は、還暦を過ぎても、いまだ「ことば」による表現に、バカみたいにこだわりながら、独自の蛸壷の中で金銭以外はものすごく幸せに生きている。
 このような趣向は若年期からすでに発芽していて、テレビなんかから流れてくる名台詞や啖呵などを覚えては、まわりに言いふらして悦にいっていた。
 たとえば「ルパン三世」の冒頭、ルパンによるメンバー紹介。
 小学生ではわからなかったことばを、必死に聞き取り、意味を調べ

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【世の中を舐める】

【世の中を舐める】

 私には、人生の背骨の角度を決定づけるほどの影響力を与えてくださった、「恩師」が居る。

 ここ2、3日、立て続けに、その恩師の夢を見るので、今日の昼間にでも、一度電話をしてみようと思う。

 さて、私が通った関西学院は、兵庫県の西宮市、甲山の麓の上ヶ原というなだらかな丘陵地に、中学部、高等部、大学、が隣接しあって広がっていた……というか、いる。私の中では過去形だが……。

 中学部の時に、週に一

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【三歩下がりて】

【三歩下がりて】

 同級生のほとんどが、関学の大学に進んだあと、さびしさと懐かしさが混じったまま、時々私は、母校の高等部に顔を出した。

 でも、私が行くのは職員室ではなく、校舎からほんのすこしだけ離れた位置にある体育館の入り口、体育教官室である。

 教官室にはいると「恩師」が、

「おっ、よう来たな」と、やさしい声をかけてくださった。でも、

「久保、せっかく来たのに、悪いんやがな、今からちょうど授業なんや。

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