見出し画像

失調症状の評価【学生・新人向け】


運動失調とは


 運動失調とは麻痺がないにもかかわらず、運動の正確さ、協調筋と拮抗筋の協調障害、姿勢保持の障害等がある状態をいいます。運動失調には小脳性、脊髄性、前庭性があり、それぞれ特徴があります。今回は小脳性の失調を中心にまとめていきます。【図1】


【図1】


小脳の機能区分


 小脳は、半球、虫部、片葉・小節に分かれ、小脳が障害された部位により症状は変化します。【図2】


【図2】


小脳の障害による症状


①測定障害
 小脳に障害があると測定過大が多いです。上肢評価では指鼻試験や鼻指鼻試験、下肢評価では踵膝試験を用いることが多いです。筋緊張の低下と、時間測定障害により生じるとされています。

②運動分離
 2か所以上の関節を動かして動作を行う時に、円滑に行えず動作がいくつかに分解されてしまう状態です。指鼻試験、膝踵試験などにおいて主動作筋と拮抗筋の協調性が崩れて、一方にいきすぎ、さらに修正しようとすると戻しすぎるなどの動作がみられます。

③反復拮抗運動不能
 例えば、前腕の回内外をすばやく繰り返すと、ふり幅や速度が減少し、リズムが崩れてきます。

④筋緊張低下
 肩ゆすり検査などで、立位の被検者が両肩をゆすると上肢の筋緊張の左右差をみることができます。また、注意が必要ですが、検者が非検者の前腕をおさえている状態で、非検者は肘関節屈曲を力いっぱい行い、途中で検者が手を離すと非検者は肘関節の収縮を止めることができずに自分の体を自分でうってしまう、Holmes-Stewart phenomenonという評価もあります。

⑤運動開始と終了の遅れ

⑥振戦

⑦歩行失調
 左右のバランスをとるために歩隔を拡大して立位・歩行を行うことが多いです。継足での立位や歩行は困難になっていることが多いです。体幹失調があると座位での振戦がみられることもあります。

⑧その他
 眼振、眼球運動障害、構音障害、認知機能低下等




小脳失調の評価法


 リハビリテーション治療ではROM、MMT、FIM等の一般的なものに加えSARAがよく使用されています。これは歩行、立位、構音障害、指追い試験、指鼻試験、手の回内外運動、膝踵試験の8項目からなり、ICRASやBI、FIMとの高い正の相関関係にあります。
 バランス能力の評価としてBBS、BESTest、TUGがあります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?