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学びの種 #006「違和感を大切にする」

あれっ、と思った違和感を大切にする。違和感は問いへの第一歩。

 ずっと違和感をおぼえいたテレビCMがあります。2019年10月に公開された、長澤まさみさんと加瀬亮さんが出演している住友林業のCMです。何が違和感かというと、長澤さんが甘柿を使って干し柿をつくっている場面です。しかも10月ですから、干し柿づくりには少し早いのでは、という疑問です。

 日常生活でおぼえる違和感というのは、1秒か2秒、場合によっては1秒にも満たないあいだにわきあがってきます。ところが、違和感があまりにも瞬時におこってくるので、その感覚をすぐに忘れてしまいます。このような瞬時にわきあがる違和感のなかには、問いや学びの第一歩が秘められています
 干し柿のCMの話。違和感の原因を考えると、丸い甘柿を干している場面が、そもそもの違和感のはじまりであったと思います。柿の名産地の自治体とも仕事をしてきた関係で、柿についてすこしは勉強しました。一般的には、すこし細長い渋柿をつかって、気温が低い11月以降に干し柿をつくります。気温が例年20℃もある10月では柿が腐りやすいですし、実は通常の甘柿よりも糖度が高い渋柿をつかうことで、乾燥させたときにさらに糖度が増すそうです。CMがリリースされた当初から疑問の声が寄せられていたらしいですが、最近も同じような疑問がツイッターでつぶやかれているのをみつけました。

 さて、ここからが重要です。では、甘柿で干し柿をつくったらだめなの、という問いを発してみましょう。以前、NHKの「きょうの料理」のテキストにも書かれていたようですが、甘柿も1~2日干すと、ドライフルーツとして別の味わいを楽しめるようです。また、そもそも甘柿と渋柿の違いは、柿にはどんな種類があるのか、などと問いが広がっていきますね。

 違和感はすぐに通りすぎていきます。でも、違和感を大切にして、それを新たな問いに結びつけていけば、学びはさらに深まります。


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