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学びの種 #007「ハッシュタグ思考」

キーワードをつかむことで全体がみえる。
キーワードはハッシュタグと同じ。

 大学1年生の最初に、高校までの「授業」と大学の「講義」の違いと、どう大学の授業を「乗り切る」のかについて話します。ノートの取り方とも関連して、講義の内容を理解するときに、特に重要なのは「キーワード」をつかむことですつまり、内容を理解する手がかりとなる語句をうまくつかむことです。
 最初のうち、学生の多くはキーワードをうまくつかめません。というのも、キーワードって一体なんなのか、またどうやってキーワードをつかめばよいのかがわからないからです。そこで、次のような示唆をあたえます。

 ・繰り返し登場する語句に注目しよう。
 ・その語句を省略すると話の内容がわからなくなるものに注目しよう。
 ・知っている使い方とは違う語句に注目しよう。

 そうすると、学生の理解力はかなりあがります。ところが、これでもキーワードをうまくつかめない学生がでてきます。講義や文献・資料などの内容をぼんやりとわかりながらも、「キーワード」という一見大きな言葉を使われると、どうやらとたんにわからなくなるようです。
 そこで、すこし目先をかえて、「この文章にハッシュタグ(#)をつけてSNSで発信するとしたら、どんなハッシュタグをつける?」と問いかけると、意外にも、うまくできる学生がでてきます。

 このように、「ハッシュタグをつけるとしたら」と考えてものごとを理解することは、勉強だけではなくビジネスでも役に立ちます。これを「ハッシュタグ思考」と名づけておきましょう。
 もともと「タグ」というのは「荷札」のことです。同じ大きさ・色の箱が並んでいると中身がわかりませんが、荷札がついていれば、それぞれの箱の中身がわかります。コンテンツとハッシュタグの関係は、まさに箱と荷札の関係と同じです
 SNSで使うハッシュタグは、メッセージの中身をあらわすものであるとともに、検索しやすくする役割があります。そして、もうひとつ重要なのは、メッセージとしての役割です。最近、コロナ禍の学校の状況をみて、「#学びをとめるな」というハッシュタグが多く使われるようになりました。これは、ハッシュタグ自体がメッセージになっている例です。

 このようなハッシュタグの役割を、ものごとを理解するためのキーワードにあてはめてみましょう。学生が講義を理解する場合、講義内容をインプットしてキーワードを抽出します。そして、キーワードを手がかりに講義内容を理解します。さらに、講義内容を他人に伝えたり、テストやレポートの回答として書いたりする場合、つまりアウトプットにもキーワードが使われます(逆にいえば、キーワードを使わないと講義内容がうまく伝わりません)。
 そう考えると、「ハッシュタグをつけるとしたら」と考える「ハッシュタグ思考」は〈インプット→思考→アウトプット〉に役立つことになります。

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