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帰国後一番の日本飯ほど美味い食事はない

帰国日の翌日は時差ボケを楽しむことにしている。今回も娘が朝の2時に泣いてから、そこから一切寝られず。パッと起きてシャワーを浴びたら、バリバリモードになる。アメリカチームとの仕事のやり取り、じわじわと周りが明るくなってきてからヨーグルトとコーヒーを淹れる。この数年間、このルーティンは世界中どこにいってもだいたい変わらない。頭をフル回転させると、自然にお腹が減ってくる。とはいってもまだ朝食もやっていないタイミングだ。9時からチャーざるの「らぁめんほりうち」が開く、日本帰国後はチャーざるに決定する。昼飯前の味覚が正しいのと同じく、僕の場合は帰国直後の味覚が正しい。それは脳も舌も含めて、感覚が海外のスタンダードにデフォルト設定されているからだと思っている。

僕らも時折オマージュしている原点のチャーざるがここにある。もともとは満来がオリジナルなのだが、僕はことこのチャーざるはほりうち一択である。バターは別添えにしてスープ割りとともに淹れるのが流儀だ。そこからしばらく歩いてから近所の町中華を発見して、そこでオムライスを頼む。誇りをかぶって若干色褪せたショールームのオムライスのケチャップにそそられたからだ。湿度をしっかり残してふんわりとしたケチャップ味のチキンライス、そこに昭和然とした卵が乗っている。もちろん帯はなんの変化球もないあのケチャップである。サーブを忘れたスプーンを頼んでから、いざダイブイン。渋谷の鳥久のチキンライスを彷彿とさせる、美味しさだ。

全世界的にもトップクラスのこの2つの料理が30分以内で食べられるという都市はどこにも存在していないだろう。時差ボケで鋭敏になっている日本ラブな味覚はこの際置いておいて、やはり気になるのは圧倒的な廉価なプライシングだ。「これだったらロスだったら、このぐらいはかかるよね」と決まったセリフをいいながら売れそうに妻はその食事を食べている。チャーざるの麺を誰よりも早くススることができるようになった娘とともに、またこの日本での生活がスタートするのだった。


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