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あの妄想喫茶にて考えるポップアップに向いている人&向いてない人

コーヒーのスペシャリストであり、僕の旅仲間である井崎英典さんとこんな喫茶店があったらいいなという妄想喫茶シリーズ、第二弾がいよいよ来週に迫ってきた。前回は全ゲストヒヤリングからのインプロヴィゼーションに近いかたちでの、ライブコーヒーブルーイング。実はありそうでなかったとても画期的なコーヒーの新しい楽しみ方だった。そこに前日から丁寧に仕込んでいた究極の和牛カレーを間に挟み込んでいくという妄想喫茶という名前からは想像できないアグレッシブな会だった。

照寿司の渡辺さんとのイベントもそうだが、ほぼ骨子だけを決めて中身の内容はお互いへのリスペクトと信頼感の中でそこまでやり取りをせずに答え合わせをしていく感じだ。僕はポップアップをおそらく300回以上は色々なシェフや団体などとしているが、不思議なことにポップアップに向いている人と向いていない人というのが分かれる。コーヒースペシャリストの井崎さんも完全に前者で、ライブ感を楽しむタイプの人だ。ポップアップに向いていない人といえば、完璧な予測スケジュールでしっかりと物事を自分がイメージした通りに動かしたい人だ。こういう人はポップアップという変化する生物に対応する能力がなく、イライラして爆発してしまうケースが多い。

これだけの回数のポップアップをこなしてきて、僕が思うのはとにかく完璧を求めないということだ。もちろん準備やゲストが最終的に獲得する体験値にはある程度イメージするが、それ以上のディテールはやりながらのアドリブ感やキッチンでの高揚感、そしてゲストとのインタラクションに委ねるようにしている。ギチギチに組んでみても、何も実現しないし、空白の遊びが合った方が予想だにしない新しい何かが生まれることが多い。それが通常営業とこういうポップアップの違いだと思う。

妄想喫茶はまだ休業から再開できていない、僕が想い入れあるWAGYUMAFIA THE BUTCHER'S KITCHENの箱で開催する。今日も昼下がりにこの箱を見に行っていてきた。不思議と何もない空間なんだが、いい気がながれていていつもキーをクランクアップしたらエンジンがもの凄い勢いで鳴りそう。そんな空間だ。この妄想喫茶をここで開催する、しかも昼下がりの美しい春の光をまとって行うというのは、僕なりのこの空間への愛情だ。

頼もしいパートナー井崎英典さんは高らかに香りあるコーヒーをライブで淹れてくれるであろう。僕も前日よりこの大好きな空間に誰にも邪魔されずに静かにスパイスの錬金術師になったかのように、グツグツとする寸胴とともにこの空間の通奏低音を静かに流しつづけるのである。

僕らの妄想喫茶への行き先はリンクより。


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