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アメリカのフードコートで考える未来のオーダーシステム

ラスベガスに来てまずチェックして回るのはオペレーションだ。最新鋭のフードコートでは、各所に大きなタッチパネルが設置されていて、そこでストール(店)を指定してオーダーができる。これで各店舗のオーダー係の存在が必要なくなる、この1−2年でできた新しいフードコート群は全てこのシステムを導入していた。席に座って家族分のオーダーをできるというのもいい。WAGYUMAFIAの既存のセッティングではなかなかオーダーをこの手のDXにするというのは難しいが、人の行動がどう変わるかというのを見ておくのはとても重要だ。

ベガスを代表するEL GORDOというタコス屋さんはマニュアルな解決方法をしていて、番号ごとにサーブするアイテムが違う。例えばアルパストールを食べたいときは1番に並ぶ、アサーダのタコスは4番。それで色々なところで買ったタコスやらを後ろにある係に持っていって精算するという。最新のタッチパネルで実現するできていることは、人の介在の有無を抜かして考えると、昔から存在していたわけだ。この違いで考えていくと、次はどこが無くなるかということになる。一番無くしたいと思われるのは「料理完成→客呼ぶ→客が動く」という一連の動作だろう。これさえ無くなれば料理完成前の「客が料理オーダー」が確実に上がるからだ。

フードコートの中で異彩を放っていたのが相変わらずブームのロール寿司だ。1人客がカウンターに座って超満員。眺めてみると握り手というか巻き手とチャット状態だ。これを見て思わず笑う。ここだけDXが完全に網羅されていないのだが、それでも客もキッチンスタッフもいい顔している。完全にうちの町寿司SUSHIMAFIAなのだが、これがいい。効率化の流れと働き手のモチベーションの向上をシンクロさせるのは難しいが、僕は意外にこの組み合わせをファインダイニングでも考えていくことがこれからの新しい飲食のあり方を考えるポイントじゃないかなーっと思う。寿司屋のDXの最たる例は回転寿司だ、職人は消えサーバーもいない。先日香港から来た友人家族も回転寿司へ、皿の枚数を自動で数えてくれてくじ引き要素があるから子供が行きたがるのだという。大手チェーンは調達している魚も大体同じだから、実はコストの次はこのエモーショナルなところをどう維持するか、創出するかなんだろうなぁっと思う。

このあたり色々なヒントが散らばっているような気がする。新しいワーディングや新しい機材だけを追わずに、意外と温故知新なトータルマインドが大切なのだ。

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