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尾崎宗春という最高の牛飼い

尾崎さんに出会ったのは運命的だった。松村太郎さんというジャーナリストの友人が、アップル公式ユーザーズフォーラムなる会で、尾崎さんという和牛の生産者の厩舎でバーベキューするのだという。ちょうど和牛に限らず生産者巡りをしていた頃の話だ。松村さんはすぐさまTwitterでコンタクトを取ってくれて、1月15日の寒い日に僕らは宮崎空港に降り立つことになった。

空港まで迎えにきてくれた彼は、開口一番自分のガールフレンドの話を始めた。それが冗談なのか本当なのかわからないがとにかく満面の笑顔が宮崎の日差しと同じようによく似合う人だった。その日から僕は尾崎さんのファンになった。まさかこの日がきっかけとなり後の人生が変わることなど想像もしていなかった。

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彼がいなかったら僕は和牛をライフワークにはしなかっただろう。残念なことに民事再生をする。同じ時期に僕も2000年に立ち上げたカフェグルーヴという会社を民事再生する。お互いに一番大変な時期をシンクロするように過ごした。

当時のメッセージのやりとりにはお互いが復活させるんだという強い励まし合いの言葉がよく登場していた。個人的に僕が尾崎さんのことを信頼しているのは裏切らないということだ。これはこの食品の世界では何故かとても難しいルールのようだ。かつてプロデュースしたレストランは、すぐに僕を飛び越えて直接取引をしようとした。卸をしていた時は、紹介して欲しいと言われて良かれと思ってしたら外されるという連続だった。

それもこれも自分の力が足りないからだと、そんな時は言い聞かせて唇をギュッと噛み締める。そんな時に尾崎さんから「それは流石に浜ちゃんによう足向けて寝られんから流石に断ったよ」と笑い話で電話がかかってきたことがあった。多分、尾崎さん本人は気づいていないと思うが、あの一言でこの人のお肉を大切に届けていきたいなと心底思ったものだ。あれから色々な人が尾崎さんの前にあらわれて、尾崎牛を代表すると連絡をくれた。民事再生させたときの自分に重ねて、そんなに「この世界は楽じゃないんだけどなぁ」といつも思った。そしてほとんどの人が消えた。

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WAGYUMAFIAでは生まれた初日から今日のこの日に至るまで尾崎牛を使わなかった日はない。色々な牛飼いのブランドも登場するが、それでもこの尾崎牛という牛が僕らWAGYUMAFIAにとって尾崎宗春という最高の牛飼いの生き様に惚れ込んでいるし、僕が和牛に入ったルーツというべき牛飼いでありブランド牛だからだ。

今回もWAGYUMAFIAの五周年記念にすぐに連絡をくれて、一緒にイベントをしようと声をかけてくれる。14年ほど前と同じくデートで使いたいと嬉しいことを冗談で伝えてくれる。5周年記念で登場した新店舗、WAGYUMAFIA DISTRICTのコンセプトデザインは、尾崎さんが「へーハマちゃんここはいいなぁ。また尾崎牛の武器が最大限発揮できる場所ができたねぇ」と言ってもらえるように彼の趣味思考性をレストランデザインに落とし込んだつもりだ。もちろん、彼がしっぽりとデートで使えるような仕組みも随所でしている。世界で一番尾崎牛を愛している、尾崎さん本人が自身が育てた最高の牛で艷やかな時間を過ごしてもらえいたいと思っている。

いよいよ4月26日、そんな尾崎さんとの五周年のトークセッション。そうあの14年前に僕が頬張って感動したあの尾崎牛のハンバーグとともに新しい僕らのフィールド、WAGYUMAFIA DISTRICTからお送りしたいと思う。会員以外の方も参加可能なのでぜひこの機会に尾崎宗春さんに会いに来て欲しい。

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4/26開催!WAGYUMAFIA 5 ANNIVERSARY SPECIAL TALK SHOW 


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