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僕らにとっての唯一の火とは

2017年、中目黒にWAGYUMAFIAのカツサンドがオープンした半年後に作ったのがWAGYUMAFIA THE BUTCHER’S KITCHENだ。ここがショーアップした僕らのスタイルの原点を作ってくれた場所でもある。要となるのがJosperというオーブンだった、4月に僕はJosperから誘いを受けて海外でPop-upをすることになる。ぶっつけ本番でJosperで焼くわけだから当時いかに無謀だったかが分かるわけだが、その焼き上がりをみてすぐさま僕は設計を変えて、ダクトをビルの屋上まで延伸してこのJosperを導入する決心をした。別に難しい機構のマシーンではない、鉄製の鍋があって、下と上に空気を調整する弁があってそれを操ることで炎のレベルを変えることができる。電気もガスも使っていない、そんな無骨なところが気に入ったポイントだった。

その翌年香港がオープンする元エル・ブジのチームが使っていたお古のJosper初号機が移転されてきた。シールドといってJosperを覆うようなハウジングをつけられるのだがそれをつけようにも古すぎる型のため生産されていなかった。そしてついにヒンジが壊れだし、空気が漏れ出してきたのだ。あれから数年たち、僕はJosperのアンバサダーとして世界にJosperを紹介している。僕はすぐさまオーナーのマニュに連絡して、新しいのを送って欲しいとお願いした。今ヨーロッパはステンレスの値段が非常に高い、僕らのJosperは特注でステンレス仕様にしている。ステンレスじゃなければ早出しできるのだが、ステンレス仕様は時間がかかるとの連絡があった。

そしてついに香港に最新鋭のJosperが導入された。先日のバーレーンのF1グランプリの晩餐会でも特注した最新型である。ドアを閉めるときに優しいブレーキがかかるそんな仕様だ。熱効率も格段にあがり、あの当時の感動が新しい形で蘇るのだ。そのJosperを使って僕はさまざまな料理を考えてきた、料理じゃなくてもJosperで炎を出すという演出も考えていたりと、僕にとってはなくてはならないマシーンだ。ヘッドシェフの洋平が嬉しそうにポストしていた、そりゃあそうだどのグループでも持っていない最新鋭のJosperだからだ。

「今度このJosperで焼きましょうよ!」

そう彼のコメントにあった。今から香港再訪が楽しみになってきた。

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