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2万円のカツサンドと1万円のラーメンの話

今でこそWAGYUMAFIAの代名詞となったカツサンド。2016年のオープン当初は全くの閑古鳥状態。パリで200ユーロのステーキバゲットがあったら、僕だったら食べに行きたい。そんな想いで設定した2万円のカツサンド。贅沢にも神戸ビーフのシャトーブリアンのみを使う。パンにもこだわり、ソースも自家製で作り込みと気合は十分だ。半年間ほど客足は遠かった。相方の堀江と僕でこの店を支えた、お土産に持っていったりと、本当にこのカツサンドのみのコンセプトは通用するのか?そう不安に駆られるスタッフたちに、こんなに美味しいカツサンドは世界中にないと言い続けた。

そこからその世界で唯一の和牛専門のカツサンド屋は、小さな小さなお店ながら月商売上で2000万円を超えるお店へと成長する。イギリスの出版社が発刊した世界のシグネチャーメニューに堂々と掲載され、全世界に世界一のサンドウィッチと称されるようになった。こだわったことはクオリティをとにかく上げ続けていく、そしてコンセプトを変えずにとことんシンプルなデザインにしていくことだ。それは今でも変わらない、常連は冷蔵庫で冷やして次の朝食べるらしい、それでも美味しいと伝えてくれる。美味しい肉は冷えても旨い。

そして2020年に1万円のラーメンをオープンする。それがMASHI NO MASHI TOKYOだ。香港に本店を構えるMASHI NO MASHI、東京への逆輸入プロジェクトはそのハードルを限界まであげた。ワギュジローと名付けられたそのラーメン。和牛のみ、そして1杯1万円だ。カツサンドでのスタートと同様にハードなオープニング続く、ラーメンは500円だろ。これはラーメンと認めないと多くのラーメンファンはそう言い放った。それでも僕らは1杯1万円のラーメンを作り続けている。僕が心底美味しいと思うラーメンをだ。10分で食べ終えて出る500円もいいけど、MASHI NO MASHI TOKYOではゆっくりと1時間ぐらいは普通に滞在できる。酒を酌み交わして、最後にラーメンを食べて帰っていく。ここでもクオリティを向上させ続けて、そしてシンプルに削り落としていくことをモットーとしている。

そんなMASHI NO MASHI TOKYOの夏の風物詩。冷やしワギュジローこと、冷やしラーメンが今日からスタートだ。個人的に思い入れのあるレシピだ、そしていつも題字を時折アルバイトで手伝ってくれている書道家の富岳が書いてくれている。彼が題字を書いたスーパーコンピューターの「富岳」は三期連続で世界一に輝いた。僕らはいつも思う、世界で二番目ではダメなのだ、世界一であり続けないとね。


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