日本にはなぜあのチップスが存在しないのだろうか?
子供の時に親父がシドニー大学で教鞭を振るっていたこともあって、ウェストウィロビーというところに住んでいた。目の前が公園で一年中、美しい芝生があった。庭には舌が青色のブルーリザードが住んでいて、いつもBBQピットに火を付けるとノシノシと外に出てきた。家の天井裏にはモモンガが住んでいて、時々飛び立っていく。80年代のオーストラリアは実に長閑だった。
オーストラリアにて学んだことは数多いが、その中でもオレンジジュースとワインの値段が同じだということと、あとはとにかく旨い味のポテトチップスがあるということだ。それがSMITH’SのSALT & VINEGAR味だ。当時から朝早くから目覚める僕は、買いだめしている小さな袋のSALT&VINEGARをパクパクと食べていた。とにかく驚異的に美味しいのだ。
そこから20年後、僕はロンドンにいた。再び手に取るのはもちろんSALT&VINEGARだ。ちなみにこっちではチップスではなく、クリスプスという。
ご存知の方も多いと思うが、オーストラリアはイギリス連邦加盟国であり、あの時の原体験の多くはイギリスのカルチャーものが多い。僕に大好きなこのフレーバーチップスが生まれたのは、イギリス特有の独特の酸が味わいのモルトビネガーにある。その国で豊富に手に入るものそれが大麦であった。海に囲まれた国であるイギリスでもオーストラリアでも最も有名な食べ物は、FISH&CHIPSである。その影の主役こと、モルトビネガー。その老舗のSARSON’Sは、2012年に日本のミツカンが買収している。
ミツカンも魅了させたこのモルトビネガーベースをフライに合わせる。少し強めの塩に強めのモルトビネガーが実にあう。そう、僕はSARSON’S派だ。悲しいことに、このお酢大好きな日本において、このモルトビネガーは入り込めていないらしい。ウィスキーにもエールビールにも合う、SALT&VINEGARが何故か国産でないのだ。
僕はここに宣言する。必ずWAGYUMAFIAで世界最強のSALT&VINEGARクリスプ(チップス)を作る。
(写真は行きつけのバーの店主が揃えてくれた新作のチップス)
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