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CHATEAUBRIANDという奇跡

不思議な癖があって、何か新しいお店なりクリエティブに纏わることを考えるときは、LPのジャケ写みたいなものを考える。WAGYUMAFIAのコンセプトを考えるときに真っ先に浮かんだのは京都の祇園で二人が侍のように立っていてというジャケ写だった。

丸本達彦という友人がいて、彼がユニフォームを手掛けるアーティストから紹介してもらったのだが、どことなく不思議な人間でもうかれこれ5年近く付き合っている。彼の職業はスタイリストだ。

彼にまず依頼したのは二人の侍が着るユニフォームだった。神宮前二丁目の松永というそば屋ですすりながら、鉛筆書きのラフのスケッチをみせて、「こんな感じの通りで俺と堀江が立つのね」とまだ生まれていないWAGYUMAFIAというイメージを伝えたのだった。

そこからしばらくして生まれたのがCHATEAUBRIANDというアパレルブランドだった。もともとはWAGYUMAFIAを通して、アパレルブランドを築けたら面白いなと思ったのと、一緒に手伝ってくれている丸本の十年後のビジネスを創造できたら楽しいだろうなと思ったのだった。

スタイリストという職業はアーティストと比例していく属人的な職業だ。将来を話していく中で「丸ちゃんが丸本達彦として全面で仕事していかなくてもいいブランドを作れたらビジネス的にも面白いんじゃないかなぁ?」そう伝えたことを覚えている。ユニフォームを作ってもらったとしてもワンショットでだいたい終わってしまうので、やったことが次に繋がっていくビジネスを考えようと。それがWAGYUMAFIAがプロデュースするCHATEAUBRIANDというブランドだった。

5年後どうなったか?というと、すべての型が300枚限定というプレミアム感も手伝って、飛ぶように売れている。町中で全く知らない人がこのブランドを着て歩いているシーンも観るようになった。世界のトップシェフもオフで着てくれている不思議な成長をしている。

丸本と僕のミーティングはなかなか面白い。彼のアトリエに足を運んで、コーヒーをすすりながら、色々な話をする。コンゴのジェントルマンファッションのサプールの写真集を出してきて、ゆったりとイメージを伝えてくる。僕は音楽を流しながら、イメージをスケッチする。流れる時間はゆっくりなのだが、決断は迷わずにお互いに早い。「あ、それがいいね。」これがこのブランドが成功している秘訣なのかも知れない。

決断は早いがそのプロセスはとてつもなく時間がかかる。

いつものように僕と丸本が考えるものは果てしなく時間がかかる。でもその時間をかけた分だけ、最高の商品として生まれ変わる。僕が普段着として着ている99%の服はこのブランドの服だ。ファッションのプロがみれば分かる細かなディテール。そんなことを知らない人でも、毎日着たくなる素晴らしい服なのだ。

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