見出し画像

僕らの妄想喫茶と水戸黄門の印籠の話

僕と井崎英典さんとの妄想喫茶がもう5回目だという。昭和レトロな喫茶好きの僕らが、妄想で始めた僕らだけの喫茶店。月に一度、西麻布のWAGYUMAFIA THE BUTCHER’S KITCHENにて開催されている。このお店コロナの煽りをガツンとくらって、未だに再開できていない香港含めても唯一の休業店。夜は緊急事態なので、昼のタイミングでゆっくりと風でも通して空気の入れ替えを・・・という意味でもとても大切なイベント。

イベントは3セッション、各回10名だから30名。ライブコーヒーブレンディングとライブカレーブレンディングと、あとは僕と井崎さんとの近況報告的なトークショーである。5回目、「あ、フォーマットになったな」と上手く伝えられないけどそんな瞬間が数回あった。この感覚デジャブである、どの既視感だったのか・・・イベント中考えてみると、ワールドツアーのことだった。行ってらっしゃいポーズが生まれて、乾杯トレインが出来て、そして最後にみんなで踊って乾杯する。さながらサーカスである。とにかく世界中探してもそんなレストランは存在しない、それがある日フォーマットになった。パリだったと思う。

お店作りもそうだが、キャンバスの余白を残しておくことが好きだ。コンセプトというかルールは決めて、使うべき作家の器も決定して、飲み物も決まる。ただし食べ物のルールは、ゲストとキッチン内で生まれるよくわからないインプロビゼーションで決まっていく。ある程度のカチッが決まると、フォーマットっぽくなってきたなぁっと思う。いつも僕はスタッフに水戸黄門のドラマのようにと伝えている、8時40分になったら助さん格さんが現れて印籠が登場するのだ。こう書くと、意味不明かも知れないが、どのお店もどのイベントでもその印籠的な役割が存在する。

西麻布のWAGYUMAFIA THE BUTCHER’S KITCHENは、僕らにとって大切なお店である。ジャック・ドーシーが牛骨スープを買いに来てくれたり、レオナルド・ディカプリオのお連れさんが塊肉を落として、”OH MY GOD”と青ざめたり、フェラン・アドリアがとにかくニンニクを食べまくっていたり、そして朝までデイビッド・ベッカムがDJしている。僕らを間違いなく、世界に紹介してくれるきっかけとなったのがこのお店だ。

今日の妄想喫茶で、井崎さんとのいつものように僕らだけが一方通行に楽しいトークをしていると、そうだなぁっと思った。もう一度この西麻布、40分に登場するあの印籠を再考するチャンスなのかもなと。そう考えるととても楽しいのだ。

1年半近く休業していた西麻布、いよいよ10月1日再始動だ。また伝説の続きがスタートすると思うと、楽しみでしょうがない。

妄想喫茶、次回は10/31。どうぞお忘れなく!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?