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ディスカバー・ジャパン<後編>

三豊での素晴らしい時間を後にして、急いで高松に。いつも立ち寄るお好み焼き屋があって、肝焼きというのが名物である。海外のゲストも増えていて、英語の表記も目立つ。久しぶりにカリカリの揚げた衣のようなお好み焼きとレバーを食べる、時折大好きなハツが入っていてそれ嬉しい。地元のお好み焼きソースを足しながら食べるのがいい。東京に戻って赤坂にキッチンインする、”JIRO DREAMS OF SUSHI”などを手掛けたDAVID GELB監督がやってくると言うこともあり、そのためだけに戻ってきた。満席のWM BY WAGYUMAFIAでDavidと友人と色々と話す。僕はもともと映画人でもあったので、映画関係の友人たちが多いのだが、彼らと話していると、いつも映画をビジネスにしていた時の時代に戻してくれるから不思議である。お前のレストランはいつも映画みたいなレストランだよなぁっと、映画人は口を揃ってそう言ってくれる。僕は最大の賛辞だと受け止めている。

戻ってきたのは朝からストレッチを受けるためでもある、旅をすると体がガチガチになる、睡眠不足だろうが眠気を振り払ってストレッチをする。自分の体のコンディションと語り合いながらと言うのがエイジングした大人の特権である。ここを無理したとしても、体は素直に答えてくれない。その足で新幹線で大阪である。ついさっきまでここにいたとは思えない日本の利便性だ。毎度のルーティンで駅弁コーナーで吉田屋の弁当のラインナップを確認する、まだ一つのみ。残念ながらまだまだウルトラ弁当が戻るまでは時間がかかりそうだ。それまでの感覚をお互いに忘れないように定期的に僕らは発注を続けている。

大阪はクッシー企画である。そう僕らがお世話になっている串田水産の串田さんのローカルフグツアーなのだ。大阪はフグ料理屋が溢れている、それも養殖のフグが牽引したからでもあるのだが、ある意味コースとして完成されているフグ料理の庶民的なシーンを見てみたいと思ったのだ。東京では天然のトラフグ、そしてフグといえば高級食の代名詞、20年ぐらい前だろうか、それこそ東映の仕事で大阪に来た時に、最初に食べたのがフグ料理だった。そこから僕の中では大阪ではフグを食べると言うのがルーティンになった時代があった。大阪のソウルフードは世界でもトップレベルだ。5000円までの料理であれば、圧倒的に東京を凌駕していることだろう。このレベルで太刀打ちできるところは博多ぐらいしか思い浮かばない。大阪の場合はそのバラエティが違う。今回はカウンターフグの老舗にお邪魔する、ここは大阪でも珍しく天然トラフグの店である。カウンター割烹で食材が最高でトークが軽妙だとそれにまさるものはない。ここがまさにそういう店であった。この店の主人が寡黙で何もしゃべられなかったら、クッシーのフグの味も全く変わったであろう。

天然トラフグにもかかわらずありえない金額に大阪の底力を感じる。養殖フグの名店にも連れて行ってもらう。すっかり初夏の暑さである、まだ湿度はないが今年の夏もまた夏らしい顔をするぞという舞台前の演者が見せる緊張感、そんな気候にも関わらずフグのてっちりと焼きフグを食べるローカルの客で溢れている。食文化とういうのは一朝一夕に生まれるものではない、長い年月がかかって子供に伝承されてそしてこのような風景が初めて生まれる。WAGYUMAFIAでもYAKINIKUMAFIAでワギュジスカンという新しい食文化を提唱しているが、まだまだ時間がかかると見ており、啓蒙活動がとても大切になってくる。今回の時間は、その僕らのWAGYUMAFIAの活動に役立つ、数々のヒントが詰まっている旅となった。旅に協力してもらった奈良、香川、そして大阪の皆さんに感謝したい。


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