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CHATEAUBRIAND≠ヒレ肉なのです

なんか巷でプチ炎上しているようなので、僕がCHATEAUBRIANDというアパレルブランドを作った経緯を書いておきたいと思う。日本だとちょっと肉をかじっていくと、銀座や神戸のステーキ屋にいきつき、そしてシャトーブリアンという言葉に出会う。ヒレ肉の一番いいところと教わる。僕は二十代そこそこの時に銀座のシャイデックという店に連れて行ってもらい、シャトーブリアンを買い占めているみたいな話しとともに、ドライ・シェリーでそのステーキを頂くみたいなことを体験させてもらったことを覚えている。日本では肉好きにとってシャトーブリアンという部位は常識だ、そんな前提条件を覆されたのがワールド・ツアーだった。WAGYUMAFIAの名物、シャトーブリアンのカツサンドを説明してもそこはどこ?みたいな反応が多かったのだった。そこで分かったのは、日本の洋食はフレンチベースで、フレンチ仕込みのフィレであり、シャトーブリアンだったのだったという事実だった。

日本ではフィレ、でもアメリカの呼称はテンダーロインである。フィレだぞーっと乗り込んでいっても通用しないのだ。ましてやその部位で一番旨いとされているこの箇所がシャトーブリアンだよっと言っても、「へぇ、フランス人はそう言うのね」ぐらいの反応しかない。そこで思ったのが、僕らのブランドをCHATEAUBRIANDという言葉にすればいいんじゃないか?ということだった。ブランドのようなサウンドに聞こえ、そしてすべての人が解釈出来ない言葉。そんな発想で生まれたこのブランドは、多くのファンを呼び海外でも道で遭遇する人がCHATEAUBRIANDを着ているという現象にもなった。フランスでは同名のレストランまで存在しており、そのオーナーに渡すよっと買ってもってかえる粋なフランス人もいる。

ところで不思議だったのは、ロンドンのポップアップではほぼすべての人がこのシャトーブリアンを理解するということだった。有名な話しだがこのシャトーブリアン、フランス・ブルターニュ出身の文筆家であり、後に政治家に転身するフランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアンから命名されている。彼が駐英大使時代にこよなく愛したフィレの二枚とベアルネーズソースかけの料理が定番となり、彼の名前を冠して呼ばれるようになったらしい。だから、イギリスではシャトーブリアンが理解されるのだった。ちなみに彼の家名であるシャトーブリアンは、西フランスに位置するシャトーブリアン市が語源という、牧畜と精肉で有名な街というのも何かの偶然なのかも知れない。


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