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世界からKING OF TUNAと称される男

「浜ちゃんは築地の人間は詳しい人おるか?」

そう尾崎牛の尾崎さんが聞いてきた。時は2007年ぐらいのことだ。トップ生産者はトップの仲卸とも繋がっている。

「じゃあ、明日朝4時に築地本願寺に来れる?」

そう言って、連れて行ってもらったのが今や幻となってしまった生マグロの競りである。紹介頂いたのが鮪卸業を営むやま幸の山口社長だった。寿司でも食いに行こうと連れて行ってもらったのが寿司大和だった。今では考えられないが、朝からビールを結構飲んで色々と語り合った。尾崎さん同様に熱い思いを持っていた方だった。そこから食事に行かせてもらったり、一緒に旅行をしたりと関係を深めていった。

僕が海外輸出を始める頃、彼と一緒に輸出会社を設立することになった。僕は和牛、そして当時グループに入った鮮魚卸店の鮮魚をも含めて、海外に輸出していこうというそんな趣旨の会社だった。和牛の海外輸出事業は途中からやま幸のグループと一緒に行っていた。まだWAGYUMAFIAなんて全くない頃だった、輸出はお互いに苦戦してなかなかシナジーを出せない日々が続いた。その2年後生まれたのがWAGYUMAFIAだ、当初はやま幸と共同出資でスタートする予定のお店であったのは、もううちのスタッフも含めて知っている人はいないと思う。

あれから5年、今年も再び「やま幸xWAGYUMAFIA」の夜がやってきた。昨年からスタートした取り組みは、やま幸チームが総出で一本の天然本マグロを解体していくところから始まる。今年は戸井の100キロ弱の鮪をご厚意でご用意いただいた。15分ほどで解体が終わると、会員制の鮨 乃南のチームとWAGYUMAFIAチームでの料理が始まる。文字通りの海と陸の競演だ。終盤には山口さんもキッチンに入ってもらって、一緒に鮪の頬肉のグリルをほぐしておにぎりを握った。

本物を知るっていうのはいいことだよね。そういう意味では今日のお客さんは本物の鮪を知れた数少ない人たちだよね。

セッションの途中、解体した鮪ではない。鮪を内緒で持ってきてくれた。

「浜ちゃん、この塩釜あとで食べて。全く違うからから、シルキーで伸びがある。今年一番のマグロだと思っている。」

温度が整ったタイミングでいただく。粉っぽさは全くなく、キレイに伸びゆく旨味が鼻腔に届いて香りが立っていく。これこそがやま幸の最高の鮪だ。山口さんが扱う鮪は香りがある、いい食材には香りがあるとは言うが、まだ未体験の方は鮪のこの独特の美しい香りに出会ったらいいと思う。

最初に山口さんと僕が作った会社の名前は「SURF AND TURF」という、アメリカのステーキハウスではロブスターとステーキが載っていたら、そう表現する。波乗ってから、ゴルフするという本来の意味だ。尾崎さんの紹介からの出会いから早14年、ようやく僕らの「SURF AND TURF」が実現できる予定だ。次のプロジェクトではやま幸山口さんとのコラボレーションがとても楽しみだ。

本物を伝える努力をし続けていきたい。

山口さんの次なるプロジェクトは築地場外の再興だ。9月10日、いよいよ明日やま幸の鮪を使った最高の鮪丼が提供される店「海玄」がオープンする。SEAGENと読む、ぜひ最高の鮪丼を食べに行ってもらいたい。

やま幸の皆さん、鮨 乃南の皆さん、本当にありがとうございました。


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